いま話題の“電動スーツケース”って、免許は必要ない? 公道走行はOK?【元警察官が語る】
2024年7月には、中国籍の30代女性が大阪市内の歩道で運転していたとして、道路交通法違反で書類送検されたことも記憶に新しい、「電動スーツケース」。電動キックボードとそう変わらない気もするが、なぜ違法なのだろうか。また、公道走行を可能にする方法はあるのだろうか。元白バイ警官の宅島奈津子さんが解説する。 【画像】[X350オーナーに朗報!] モリワキ初のハーレー用マフラーついに発売!
利便性が起こす弊害
世の中はどんどん便利になっていく一方ですが、そのことによって引き起こされる弊害というものも多々あります。ここまで利便性を追求すべきなのか、と目や耳を疑いたくなるようなものも、たくさんあるな…と感じているのは私だけではないと思います。
電動スーツケースの登場
みなさんは、電動スーツケース、電動キャリーケースと言われるものをご存知でしょうか。初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれませんね。日本国内では、まだあまり普及していないため、そうそう見かけるものではありませんが、海外からの観光客を中心に人気を博しています。 一昔前には、想像もしなかったようなものが次から次へと登場してきますね。この電動スーツケースも、そうしたものの一つではないでしょうか。
電動スーツケースは車両扱い⁉
実はこの電動スーツケース、原動機付自転車としての扱いとなるため、車両として扱われることになります。ということはもちろん、乗車するには、運転免許が必要となります。なにせこの電動スーツケース、速度はそこまで出ないものの、電動機(モーター)のみで運転できるのです。 一例として、2022年に発売された電動スーツケース「GeeRidecase」を見てみましょう。販売している株式会社Glotureによると、価格は10万円ほどで「スクーターのように乗れる、夢のようなスーツケース」といったキャッチコピーで紹介されている一台です。 ハンドルの右側のボタンで発進し、左側のボタンで停止するといった、非常に簡単な操作で乗ることができ、最高時速は10kmとなっています。人の歩く速さは通常、時速5kmほどなので、時速10~13kmというのは小走りするぐらいの速さと同等。走行時には、周囲への注意や配慮が必要となってきます。 ほぼ電動キックボードと同じような気もしますが、あちらとは違い、規格にそった設計とはなっておらず、速度制限機構がまず備えられていません。そのため、特定小型原動機付自転車扱いとはならず、2024年9月時点の日本では、公道走行は不可とされています。原動機付自転車である以上、ヘルメットの着用義務があるだけでなく、ナンバープレートが必要なのです。