「ハラスメントの標的になりやすい人」の6つの特徴 身を守るための言い返し方
ハラスメントする人の正体
ハラサーは、生まれつき攻撃的な性格をしているとは限りません。じつは、ハラサー自身もハラスメントを受けてきた被害者であることが多々あります。 親や上司、先輩など、自分よりも強い立場の人からハラスメントを受けると、ストレスがたまり発散したくなることがあります。そんなとき、自分よりも弱い立場の人に無意識にハラスメントをして、ストレスのはけ口にしていることがあるのです。そのためハラサーは、「自分より弱い人」をハラスメントの対象に選んでいます。言い返してこない、言いなりになりそうなタイプの人を常に探しているのです。
嫌われない言い返し方
ハラサーの策略を知ることで心にゆとりが持てたら、いよいよ具体的な言い返し方を学びましょう。大切なのは豊富な語彙やフレーズではなく、基本のテクニックをおさえることです。 言い返すときに核となるのは、「承認」と「質問」という2種類のスキルです。これらを実行するためのテクニックを、以下に紹介します。「承認」と「質問」を組み合わせて、言い返してもいいでしょう。 1. 被害者を作らないための「基本承認」 嫌なことを言われたときは、その是非や正誤は問わず、「その通り」「そうなんです」と笑顔で受け入れましょう。笑顔のままで攻撃言葉をリピートすると、さらに効果的です。 じつはこの「基本承認」は、ハラスメントをする人にとって一番嫌な対応です。ハラサーは暴力的な言葉を投げかけることで、あなたが傷つくことを望んでいます。ところが、あなたが笑顔で言葉を受け入れると、「被害者」が誕生しなくなるのです。 攻撃を受け入れると「負けを認めた」と感じるかもしれませんが、周囲の人には「欠点を素直に受け入れられる、自信や余裕がある人」というふうに映ります。 2. 発言の意味を問いかけて、相手に考えさせる 攻撃してきたハラサーに対して、間髪入れず「それってどういう意味ですか?」と質問してみてください。言葉の意味や根拠を具体的に説明させる、有効な手段です。 「そのままの意味だ」「こんなこともわからないのか?」と反論されるかもしれませんが、ひるまないでください。メモを取りながら追及すると、さらに効果的です。 ここで大切なのは、感情的に質問するのではなく、落ち着いて問いかけること。案外、相手は無意識に攻撃をしている場合もあります。冷静に問い返すことで、自分が発した言葉の意味や背景について相手が考えるようになり、あなたへの攻撃が減少するでしょう。 3. ポジティブな言葉に言い換える「リフレーム」 ネガティブなことを言われたら、そのまま文字通りに受け入れたうえで、ポジティブに言い換えるテクニックです。 まずは言われた嫌な言葉をそのまま繰り返し、「だからこそ~」「そのおかげで~」と続けて、そのあとにポジティブな言葉に言い換えましょう。すると、意図した話題とズレて、相手は何も言えなくなります。 たとえば「太ったんじゃない?」と言われたなら、「そうなんです、太ったんですよ。だから幸せそうに見えるってみんなから言われるんです!」と返します。これを習慣化すると、悪意のある言葉の中にも、前向きになれる種が隠されていることに気づけるでしょう。 4. 「ヘルプ&ティーチミー」で立ち位置を変える 攻撃してくる相手に、「助けてください」とお願いしてみましょう。「助けようがない」と返されても「そんなことを言わずに助けてください!」と繰り返します。これによって相手は戸惑い、攻撃意欲が失せていくでしょう。 人は、助けてあげた人に対して好意的な印象を持つように心理が働きます。助けを求めることで、「救助される側と救助する側」という枠組みが作られて、相手は強く出られなくなるのです。 別パターンとして、「では、どうすればいいか教えてください」と教えを請うのもいいでしょう。ハラサーからアドバイザーへと立場が変化し、建設的な関係になれます。
不安や恐怖心がバレない「ポーカーボイス」を身につけよう
これまで紹介したテクニックを実行するうえで、とても重要なのは、言い返すときに不安や恐怖心を相手に察知されないようにすることです。 そこで、「ポーカーボイス」を身につけましょう。自分の感情を相手に悟らせないための表情を「ポーカーフェイス」と言いますが、これを声に置き換えた造語です。 気持ちが揺れ動くときは、相手の左目の黒目の中にある光を見て言葉を届けるようにしてください。不思議と心が落ち着き、声の震えや声が小さくなるのを抑制できます。不安でも、自信ありげに話せるようになるでしょう。
司拓也(コミュニケーショントレーナー)