「障害者に理解あるゴルフ場が少ない」元パラリンピック選手や識者が語った健常者ゴルファーとの共生社会
第61回日本リハビリテーション医学会学術集会が東京で開催され、特別シンポジウムとして「障害者ゴルフ競技の普及・啓発~障害見ずして球を見よ~」を実施。本学会で障害者ゴルフを取り上げたのは初めてとのことだ。
登壇者は松田治子氏(日本障害者ゴルフ協会)、見供翔氏(スポーツ庁健康スポーツ課)、亀田八寿四氏(ティーチングプロ)、田中哲也氏(青森県今別町議員)、安保雅博氏(東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座)の5名。 真剣にゴルフに取り組む障害者の姿に感動してきたという松田氏は、「理解あるゴルフ場が少ない。乗用カートのフェアウェイ走行、車いすのグリーン上乗り入れなどの問題がある」と課題を述べ、見供氏は「健常者の約52%に対して障害者のスポーツ実施率は約30%と低調。スポーツを通じた共生社会の実現へ向けて動きたい」と障害者がスポーツをするきっかけとなる医療関係者への啓発、環境や手段、アクセスの整備、情報発信や機会提供、指導者育成など幅広い施策目標を話した。 亀田氏は「自分も含めて健常者のマインドも大事」と、コースおよび練習場の協力体制や環境整備の重要性、JGAや練習場連盟への協力要請、個々の障害に合うレッスンとコーチ育成など障害者へゴルフの門を開くための目標を掲げた。 元パラリンピアンでマルチアスリートの田中氏は、「いまも健常者に負けないために常に努力している。障害者ゴルファーは自分でクラブも体の動きも研究している。興味を持ち一緒に学んでいけるのが”共生”だと思う」と語り、本学会会長でもある安保氏は、片麻痺ゴルファーへのゴルフ再開への具体的な診察・指導実例を提示、このような学会の場での情報開示の必要性を訴えるなど、様々な立場の人が障害者ゴルフについての考えを示した。 そんな”人と場が増える”ことこそが、共生社会実現へ向けた一歩である。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月16日号「バック9」より
週刊ゴルフダイジェスト