焼き肉を毎月定額でお届け…「日本一の焼き肉のまち」から全国へ レンタルグリル付きで月8929円 地域に根付く“出前”をヒントに
「日本一の焼き肉のまち」の長野県飯田市
精肉店と焼き肉店を運営する長野県飯田市白山町の「丸三」は、8月29日の「焼肉の日」に合わせ、焼き肉グリルの無償貸し出し付きの焼き肉サブスクリプション(定額利用)サービス「信州飯田出前焼肉サブスク」の提供を始める。 【ひと目で分かる】焼き肉店数の全国ランキング 1位は長野県飯田市 2位は…
“出前”は昔から地域で浸透
同店は、飯田下伊那地域でなじみ深い「出前焼き肉」のスタイルを発案した店。3代目社長の原大介さん(52)は、サブスクサービスによって出前焼き肉を全国に広げる方針だ。
出前は週末に300~600人前が利用
出前焼き肉は、肉の注文に合わせ鉄板やガス器具、タレ、皿、箸などのセットをまとめて配達し、回収するサービス。40~50年ほど前、地域内に大手スーパーが参入する中で生き残りを図ろうと、原さんの父で2代目社長の親男(ちかお)さん(故人)が食肉組合を通じて個人精肉店に呼びかけ、始まった。会合の後に利用する団体が増え、その後、焼き肉の食べ方として地域に定着。店には毎週末に300~600人前の利用がある。
最近は県外からの問い合わせも…
ただ、出前焼き肉は代金引き換え払いでセットを配達するため、飯田下伊那地域のみが販売対象だった。近年は広く知られるようになり、地域外や県外からも問い合わせがあるが対応できなかった。
サブスクは全国に月12回配送 地元産肉やカット野菜
新たなサブスクサービスは年間契約とし、月1回、肉と野菜、オリジナルのタレを計12回送る。初回に2、3人前を焼ける減煙効果のあるグリル1台を無償レンタルする。毎月、南信州牛などの地元産の肉4~5種やカット野菜を発送。肉は、ラム(子羊)や黒モツ(牛の第一胃)など飯田焼き肉の名物部位も含む。鮮度を保つため、特殊なガスを使ったチルド方式の包みで発送する。
原さんはかつて、親男さんが採算度外視で出前焼き肉に取り組む姿を見て疑問を抱いたこともあった。問いただしても、親男さんは「お客さんが喜んでくれれば、それでいいじゃないの」と言った。今では地域の食文化の一つとなり、店の一大事業に成長。「先代たちのおかげで、今も地域の精肉店に活気がある」と原さんは話す。