日本船主協会 紅海での商船攻撃を断固非難。「事態の早期終息を」
日本船主協会の明珍幸一会長は6月28日の通常総会後に会見し、イスラエルとハマスの軍事衝突を背景とした紅海などでの商船攻撃事案について、「この1年間の海運業界を取り巻く環境変化の中で最も大きな出来事だ」との認識を示した。その上で、「国際サプライチェーン(SC)を担う業界の一員として、非道な行為を断固非難するとともに、ハイジャックした船舶と乗組員の一日も早い解放、事態の終息を望む」と語った。 明珍会長は、昨年10月以降、イエメンの反政府勢力フーシ派による紅海周辺での船舶攻撃が相次いで発生し、その数が80件以上に上ることを説明。 加えて、「ソマリア沖アデン湾の海賊事案も再燃している」「広範囲で起きている」と海賊リスクも憂慮。自衛隊や海上保安庁、各国軍などによる海賊対処などの継続の重要性を指摘した。 航行安全の確保に向けて、「加盟各社に対しては引き続き紅海、アデン湾周辺海域の回避を推奨している」とし、喜望峰迂回(うかい)ルートを選択する動きが活発化していることを明らかにした。 環境対策にも言及。IMO(国際海事機関)でGHG(温室効果ガス)排出減の中期対策の議論が進む一方で、今年からEU(欧州連合)による「EU―ETS(排出量取引制度)」の海運セクターへの適用が始まり、来年からはGHG強度規制の「フューエルEUマリタイム」の導入が控えている現状を説明。 「これらの地域規制とIMOの国際規制が併存することは、われわれにとって、二重負担になりかねない」とし、国内外の関係団体と連携し、国際規制への一本化を求めるスタンスを改めて強調した。 会見には新理事長(1日付就任)の篠原康弘氏も同席。篠原氏は「私は1983年に運輸省(現国土交通省)に入省した。最初は船員局でその後は遠洋航海を経験したり、外航課や港湾局の総括など、海の分野の経験をしてきた。それを生かしたい」と抱負を語った。
日本海事新聞社