私は「末期がん患者」だから、さすがに「捨てた息子」も許してくれますよね。その患者の願いに応えて息子を捜し出した看護師は「天使か悪魔か」
岡田さんは30代で同じ職場の女性と結婚。息子も生まれたのだが、息子が4歳の頃に、ある過ちを犯してしまう。 「既婚者でありながら『途ならぬ恋』に走ってしまったそうです。奥さんと不仲とか、息子が可愛くないというわけではなく、奥さん以外に親しい女性ができ、そんな自分を『男として甲斐性がある』と思っていたそうなんです」 最初はただ数時間会うだけで満足していた岡田さんだったが、段々と行動がエスカレート。女性と旅行に行くようになり、最終的に奥さんにバレると、家族を捨てて、その女性と駆け落ちをしてしまったのだ。 20年前に亡くなった奥さんはそのときの駆け落ち相手で、彼女が亡くなって以降、岡田さんはずっと一人暮らしだった。 「岡田さんの第一印象は知的で温和な感じの男性だったので、『浮気』や『駆け落ち』をして家族を不幸にするタイプには全く見えませんでした。だからこそ、このお話を伺った時は衝撃的で……」 「岡田さんが家族を捨てて、家を出ようとしたとき、息子さんは当時まだ4歳。笑顔で『お仕事、いってらっしゃい』と言ってくれたそうです。駆け落ちした後、近所の小学校で運動会をやっていると、息子さんの姿を思い出していたそうです」
看護中に岡田さんが話す内容は、決まって息子さんへの懺悔だったという。 「人生最期の時を後悔なく過ごしてもらうために、看護師としてできることを全力でやる」ことがモットーだった小池さんは、岡田さんの代わりに息子さんを探すことに。 「人生を終えようとしている患者さんに対して、最後の願いを叶えるために色々と協力することはあります。 ご家族で旅行に行きたいという方がいれば、極力実現できるように各事業所へ働きかけることもあるので。 だからこそ、岡田さんの息子に会いたいという願いを叶えてあげたい!と思ったんです」 小池さんは、近所に住む岡田さんの友人に声をかけ、息子さんを探してもらうよう頼んだ。同じ訪問看護ステーションのスタッフにも協力を仰いだ。 中には「それは流石にやりすぎでは?」「小池さんの自己満足でしょ」というスタッフの反対意見もあったが、小池さんはその度に、「私が全て責任をとる」と言ってスタッフを説得していた。 そうして約1ヶ月が過ぎた頃、奇跡的に息子さんの連絡先を知ることができた。 「息子さんの携帯番号がわかった時は、本当に嬉しかったです。そして、嬉しいことに、息子さんも岡田さんに会うと言ってくれたんです。これで岡田さんの願いを叶えられると」 岡田さんの願いを叶えられることに喜んだ小池さんだったが、この後、事態は急展開を迎える。【後編】で詳報する。 取材 / 文:山村真子 PHOTO:GettyImages
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