徳之島で初の公道訓練 32キロを徒歩行進 陸上自衛隊奄美警備隊
陸上自衛隊奄美警備隊は20日、鹿児島県の徳之島、天城の両町にわたる公道で徒歩行進訓練を行った。2019年3月の部隊開設以来、同隊が徳之島で訓練を行うのは初めて。今年4月から徳之島、沖永良部島、与論島が同隊の担当区域に加わったことに関連し、台風などの災害や有事に備え、徳之島の地形を把握することを目的に実施した。普通科中隊の男性隊員14人が携行食や水などの救援物資約20キロを背負い、約32キロメートルを歩いた。 同隊は23日に同島で行われる「第37回トライアスロンIN徳之島」で救護など支援活動を行うため来島。滞在期間を利用し、島特有の地形を理解し、部隊の移動能力を向上させる目的で「生地(せいち)」と呼ばれる自衛隊施設外の地域での地形を活用した訓練を計画。両町と調整の上、初めて公道訓練を行った。 隊員たちは午前7時ごろ、天城町防災センターを出発。誘導・救護役の隊員や先導車両と共に、徳之島の北側を周回する32キロの「尚子ロード」を途中休憩しながら歩き、午後5時ごろ防災センターに戻った。銃器類は携行しなかった。 訓練部隊の小隊長を務めた黒木啓介3等陸尉は「(徳之島は)思ったよりも起伏があり、自然が豊かと感じた。隊員の体力向上とともに、地元の方たちへの理解につながれば」と話した。沖永良部島、与論島での訓練についても「できれば実施していきたい」とした。 訓練に参加した徳之島町亀津出身の前田章吾2等陸曹(33)は「道中で地元の方からの声援も受けうれしく思った。故郷での勤務を熱望していたので、島で災害に備えた訓練ができることは恩返しにもつながり、よかったと思う」と話した。 自衛隊OBで組織する隊友会徳之島支部も休憩地点で部隊を激励。平田英助支部長(69)は「南3島も担当域に加わり限られた人数で大変と思うが、頑張ってほしい」と語った。 陸自奄美、瀬戸内の隊員ら延べ35人は、25日ごろまで天城町防災センターなどに滞在する。