無料漫画アプリの台頭 ── それを支える重要な2つの要素とは?
『週刊少年JUMP』261万部、『週刊少年マガジン』117万部、『週刊少年サンデー』40万部、『なかよし』13万部、『りぼん』21万部(いずれも12月の単号の発行部数)。 過去には653万部を突破して史上最高部数を叩き出した『ジャンプ』、一時期は陰りが見えたその『ジャンプ』を追い抜いた『マガジン』など、メジャーな漫画雑誌が大部数を競い合っていたのも四半世紀前の話。今や多くの漫画雑誌の部数は、最盛期の半分以下にまで減ってしまった。
雑誌の役割を補完する無料漫画アプリ
こうした漫画雑誌の落ち込みは、漫画のビジネスモデルにも大きな変化を与えている。各作品の連載を集めた雑誌を販売=宣伝して、一冊の単行本(=コミックス)にまとめて大幅に収益をあげるというのが漫画ビジネスの王道だ。 その中で、雑誌は漫画家の作品を集めるという要素と、作品を広く宣伝するという2つの機能を兼ね備えている。だが、年々雑誌そのものの売上が低迷していく中、90年代後半以降、雑誌のみでは収益が出ないケースが増えてきた。そのため、もはや雑誌は宣伝と割り切り、単行本の売上でその穴を埋めるという考えに切り替わっていった。 それに加えて、2013年頃からは低迷する「雑誌」の役割を補完するサービスが出始めてきた。それが、「マンガボックス」(DeNA)、『LINEマンガ』(LINE)、『comico』(NHN PlayArt)などの無料漫画アプリのサービスである。 漫画を雑誌連載のように週1回程度のペースで更新していくアプリで、まさに電子漫画雑誌という側面も持つ。そして、これが大ヒットを飾り、昨年10月段階で「LINEマンガ」のアプリは、なんと累計800万件もダウンロードされ、『マンガボックス』は累計600万DL(昨年9月)、『comico』は累計800万DL(今年1月)と、前述のメジャー誌を優に超える読者を獲得しているのだ。 上記3社はいずれもIT系企業によるものだが、ほかにも『少年ジャンプ+』(集英社)や『comic walker』(KADOKAWA)など出版社自らが手がける無料アプリ、『やわらかスピリッツ』や『モアイ(モーニング、アフタヌーン、イブニングの合同)』など雑誌レーベルごとのウェブやアプリサービスも存在する。