職場に残る理不尽な慣習あれこれをリセット! 組織の違和感は変革の源泉。対話でチーム体験を引き上げよ
新たな制度ができた結果、従業員エンゲージメントのスコアは3年連続右肩上がりで、離職も減少。さらに「研究部門に相談すると意外な解決策を教えてもらえる」と社内評価が上がり、社内から「推される部署」にもなりました。 その起点となったのは、「研究開発部門なのに、新しいことができていない」という現場の悩みであり、それを解決するプロセスは「現場メンバーと部門長の共創」だと沢渡さん。 沢渡「違和感は変革の源泉です。 現場の不平不満で終わらせたり、部門長だけで解決策を考えたりするのではなく、モヤモヤを言葉にし、『組織に何を求めればいいのか』『自分たちで何ができるのか』を考え、組織共通の関心事としてみんなで解決していく。 そうやって組織改革につなげていく発想が大切です」
対話をベースに、現場主体でチーム体験を引き上げる
キーパーソンとなるのは、経営層とメンバーの中間にいるミドルエイジです。縦、横、斜めからさまざまな情報が入ってきやすく、現場のリアルが見えやすい立ち位置を生かすポイントは、対話にあります。 沢渡「対話とは、自分の主張を押し付けて相手を従えることではなく、お互いの景色を見ることです。自分の事情、そして相手の事情を聞き合う力は、あらゆる世代、職種の人に必要だと思います」
メンバーに対して「最近どう?」「困っていることはない?」と一方的にヒアリングするのではなく、「聞き合う」こと。1on1というよりは「相互相談タイム」のようなイメージで、「最近こう思うんだけど」とマネジャーも自分の話をすることが重要です。 ただ、「対話は意外と難しい」と沢渡さん。当たり前にみんなができることではないと認識を改める必要があります。 沢渡「自然体で対話ができる人は少数ですが、対話能力はトレーニングで伸ばせます。 理想は会社で研修を行い、全員が受けること。自分の対話能力だけ高くても、周りが低ければチームワーキングは成り立ちませんから、全世代で取り組んだほうがいいと思います」 組織開発分野のトレンドとしても「現場主体、自律の色が強くなってきている」傾向にある中、対話能力の必要性はさらに高まることが予想されます。 沢渡「本社が全てを統括するのではなく、部門が主体となり、部門長が小さな経営者となりながら組織を運営する企業が増えています。つまりは全体最適から、各チームが自主性を持って課題解決に取り組む方向に変わってきているのです」