小池知事「地下水の再調査」「豊洲移転の経緯」を注視 専門家会議と百条委
東京都の小池百合子知事が移転延期を決めた豊洲市場問題をめぐる調査が進められている。19日には専門家会議で、有害物質の急激な数値上昇を受けた地下水の追加調査結果が公表される。都議会の百条委員会では、18日から3日間、浜渦武生元副知事や石原慎太郎元知事らの証人喚問が行われる。 【中継録画】小池都知事が定例会見 豊洲百条委や再調査結果は 豊洲市場への移転可否について、小池知事は17日の定例会見で、地下水の追加調査結果に加えて豊洲移転にいたった経緯も踏まえて総合的に判断していく考えを示した。この連休は、豊洲移転問題の一つの節目になりそうだ。
●専門家会議
1月に開かれた専門家会議では、9回目となる地下水モニタリング調査の最終結果が公表された。その結果、環境基準値の79倍という高い濃度のベンゼンや、これまで不検出だったシアンがはじめて検出された。これまでの調査に比べて急激に数値が上昇している地点が目立ち、平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)らメンバーも「あまりにも今までの傾向と違う」と困惑。このデータは暫定値とし、調査結果や今後の推移を検証するために追加の地下水調査を行うことを決めた。 追加調査は1月30日から、高い数値が出た場所を中心に29か所で行われ、採水には平田座長ら専門家会議メンバーも立ち会った。この結果が、19日に公表される。数値は下がるのか、同様の水準か、上がるのか。小池知事は「結果はまだ存じ上げない」としたが、「これからのスケジュールは調査結果が出た上で考える必要がある。科学的な調査結果を含めて全体で考えねばならない」と豊洲移転の可否は追加調査を踏まえて総合的な判断をすると語った。
●百条委員会
一方、都議会では、豊洲市場問題に関して「百条委員会」の証人喚問が始まった。11日には、東京ガスや都庁の当時の幹部らへの質疑が行われ、大矢実元市場長が「豊洲が既定路線だった」などとする石原元知事の発言と食い違う内容の証言をしている。 百条委では19日に浜渦元副知事、20日には石原元知事への質疑が行われる。小池知事は「いつどのように決めたのか、どういう流れでそうなったのかは当事者でないと分からない。記憶なり、実際に何があったのかを引き出してもらうのが百条委員会の役割ではないか」と述べ、豊洲移転決定にいたった経緯がより明らかになるかを注視するとした。その上で、「市場の問題は都庁全体の問題として検証に値する。それを踏まえ、移転に関わるさまざまな決定に反映させることには意味がある」として、こうした過去の経緯も総合的な判断の材料の一つになるとの考えも示した。