日本バレーボール界に〝切り札〟投入 ティリ氏の男子代表監督就任に期待大
またフランス代表は、例外的な選手を除いて必ずしも体格やパワーに頼らず、強いサーブと精度の高いレシーブから攻撃を組み立てていくのが持ち味。それを導入したのが、ほかでもないティリ氏だ。「バレーはサーブとレシーブから始まる。正確なレセプション(サーブレシーブ)はすべての起点」とティリ氏。これは日本代表のスタイルと一致している。
ティリ氏はパリ五輪を振り返り「データ的に2%、(1試合で)2、3回、大切な場面で悪いアタックがあった。この、大事な場面で自分たちにうまく流れを持ってくることが大事。苦しい場面は何度もあるが、それを乗り越えて初めて表彰台が見えてくる」と話し、真剣勝負で競り合った経験の重要性を強調。今後は大きな国際大会で表彰台を狙って経験を積ませていくと方針を示した。
「複数の候補の中、満場一致でティリ氏に決まった」という日本協会の川合俊一会長は、「世界最高の監督が日本のチームで監督をやり、日本選手の気質に慣れている。こんな都合のいいことがあっていいのかというくらいの奇跡。そんな人が代表を率いてくれるのは喜ばしい」と話した。めぐりあわせの幸運については強く同意する。
石川が円熟期を迎え、西田や高橋藍(サントリー)がピークへ向けて駆け上がり、若手たちの成長が期待される中で、満を持しての〝切り札〟の登場だ。ロサンゼルス五輪までの3年半を、期待して見守りたい。(只木信昭)