30代、週刊誌記者の「ありえない要求」に取材先が大激怒…!これだけは絶対に「やってはいけなかった」と反省したワケ
「私の常識」の押しつけ
記者業で3000人、接客業と合わせると1万人以上の人と接してきて、悪気なくやってしまいがちだけど絶対にやってはいけないとわかったことがいくつかあります。 その最たるは、常識の押しつけです。「普通は~」「みんなは~」「世の中は~」「うちの会社は~」「そんなの当たり前」「そんなことも知らないの?」と言ってしまう人は要注意。無意識のうちに相手に「私の常識」を押しつけている可能性が高いです。 私も、記者になって数カ月の頃、こんな押しつけをしてしまったことがあります。 売れ筋の最新家電を紹介する記事を担当し、各商品の写真掲載のために都内の大型家電量販店で写真を撮らせてもらう必要がありました。しかも「今日中に全ての写真をそろえるように」という上司からの依頼……もう時間がありません。 「売れ筋の最新家電をご紹介する企画で、本日、今からお店の一角をお借りしてお写真を撮らせていただきたいのです。来週発売号でして……」 そう言って、近隣の大型店舗から順に電話を掛けまくりました。 「今日の今日? 写真撮影? 何言ってんだよ! 無理に決まっているだろう」 「あと○日で発売する雑誌? 無茶なことを言うね。うちはお断りだ」 週刊誌は、2、3日で取材を終えなければならないこと、急な記事の差し替えがあったときには、その日のうちに必要な資料をそろえることは当たり前にあることです。 しかし、一歩引いて見てみると「あと数日で発売だから、今から写真を撮りに行きたい」はおかしいよな……と気づきました。相手の方々もそれぞれに仕事を抱えているのです。自分の常識を伝えてお願いしても、全く取り合ってはもらえません。 そこで、「ご協力いただいた場合は、協力店舗としてクレジットをお入れすること」「謝礼をお支払いすること」など、メリットは早い段階で伝えるようにしました。すると、反応が全く異なることに気づき、『メリット』を感じさせるにもつながっていったのです。 他にも、こんなことがありました。あるタレントが体調を崩し、緊急入院をしているという情報を入手したときのこと。詳細を把握しきれず、近しい関係者にお話を聞きに行きました。 その中で「日課のヨガは続けられていますか?」と問いました。すると、相手は言葉を詰まらせ、「そういうことを考えられる状況じゃない」と。体を動かすどころか、もう通常の食事を取れる状況ではないほどに病状は悪化していたのです。 自分の日常では「普通のこと」「当たり前のこと」だと思っていても、病気、事故、災害などに直面している方は、そうではないこともあります。 常に相手の状況を想像しながら聞く。相手を傷つけないために忘れないようにしたいです。 …つづく、山田千穂さんの連載、<一瞬、場が凍り付いた…パーティーで、空気を読まない「30代の新人記者」にとどめを刺した先輩の「痛烈な一言」>では大人数で集まって話すパーティーやイベントが苦手な人に教えたいテクニックをお伝えします。 構成/樺山美夏
山田 千穂(記者)