完走は至難の業!フィリピンの「ウルトラレース」挑戦が過酷すぎた……
再びフィリピンへ!リベンジを賭けた二度目の「Hardcore Hundred Miles」
2024年5月、前回の失敗を踏まえ、今回はギアを強化しトレーニングにも力を入れて、自信を深めた。 スタートは朝5時半に設定され、制限時間は44時間に延長。距離と累積標高がわずかに増加したが難易度は下がったわけではない。今回のレース戦略は、前半は体力を温存することを第一に考えた。鍵は、自分のペースを守る「Run smart」だ。 今回日本人の参加者は私ひとり。それでも前回の仲間とも再会でき嬉しかった。彼らの中にも、リベンジを目指す者もいた。 ◆一時は5位に!順調なスタートから予想外のトラブル発生!? レース前半は驚くほど快調だった。最初の難関となるAS2からAS3区間では、難なく登りをクリア。気づけば全体で10位以内に入っていた。エイドステーションでは、パラパラの白米とチキンを軽く口にしただけで、先を急いだ。まだ全く疲れはない。 次のAS3からAS4区間は、猛スピードで得意の下りを駆け降りた。その結果、5位という好位置に上昇。「これはいける!」と確信した。しかも身体のどこも痛みがなかった。この順位を死守しようと、ペースを保ち続けた。 ところが、振り向けば前回の準優勝者が私の背後にいる。その瞬間、負けず嫌いな性格が顔を出し、ついペースを上げた。スタートして約15時間でAS5に到着。彼にはまだ少し余裕が見えたが、私はかなり疲労が溜まっていた。エイドで提供されたご飯とチキンは喉を通らなかった。 ここで初めて、自分の食欲が完全に失われていることに気づいた。食欲が戻ることを期待して、約20分横になることにした。ランナーたちが心配そうに声をかけてくれる。それが悔しかった。ただ、この予想外のトラブルにどう対処すればいいのかが分からないだけなのだ。 ◆メンタルが崩壊!ジャングルの中で訪れた挫折の瞬間。 結局1時間以上はエイドに滞在していたが、まだ制限時間には余裕があった。他のランナーが「一緒に行こう!」と励ましてくれ、失った順位を取り返そうと真っ暗なトレイルをがむしゃらに進む。 しかし、疲れ切った身体でジャングルの道なき道を進むのは、予想以上に厳しかった。「なんでフィリピンで夜通し走ってるんだ?」「もう十分だ。ほんとによくやったよ!」と自問自答が続く。 なんとかAS7まで辿り着いた。周囲から「日本から来て、ここで諦めるなんてもったいないよ!」と励まされたが、もうレースを続ける意志は湧いてこなかった。 気づけばエマージェンシーシートのくるまり、3時間ほど眠っていた。腕時計は既に関門時間の6時30分を過ぎ、DNF(Did Not Finish、完走できずリタイア)が確定していた。 なぜかその時は潔くDNFを受け入れることができた。前半の飛ばしすぎ、そして不十分なエネルギー補給が原因だったのだろう。その上、他のランナーと競いすぎた。本来、自分自身と闘うべきなのに。