第93回選抜高校野球 東海大相模、激戦制す 昨秋のリベンジに歓喜 /神奈川
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会は第2日の20日、初戦に臨んだ東海大相模は東海大甲府(山梨)との延長十一回の激戦を3―1で制し、2回戦進出を決めた。先発の石川永稀(3年)が8回1失点の好投を見せると、九回からはエース・石田隼都(同)が好リリーフ。延長十一回に主将の大塚瑠晏(るあん)(同)の適時打で勝ち越し、サヨナラ負けした2020年の秋季関東地区大会のリベンジを果たした。2回戦は大会第7日の25日、第1試合(午前9時開始予定)で、鳥取城北(鳥取)と対戦する。【宮島麻実、大坪菜々美】 1点を争う接戦になった、同じ系列校の「東海大対決」に決着をつけたのは、主将の大塚の一振りだった。 延長十一回1死から門馬功(3年)が二塁打で作ったチャンス。「勝ちにつながる打撃をしよう」と打席に向かった大塚が「よく覚えていない。捉え切れてはなかったので、とにかく抜けてくれと思って走った」という打球は一、二塁間を抜けた。待望の勝ち越し点に、アルプススタンドでは父友英さん(49)が「甲子園の前に『攻めろ』と伝えた。今日の息子の打席は攻めていた」と涙を拭った。 この試合、先発はエースの石田ではなく、石川だった。石川の父忠永さん(54)が「驚いたが大丈夫だと思う。昔から冷静な子で試合は緊張しないと言っていた」と話した通り、得点圏にランナーを置いても落ち着いた投球で得点を許さない。 緊迫した展開で、先制したのは東海大相模。柴田疾(3年)と百瀬和真(2年)の連続ヒットでチャンスを広げた七回2死二、三塁。相手捕手のパスボールで1点を奪った。直後の八回に石川が適時打を許して同点に追いつかれたが、九回からは石田がマウンドに。圧巻の投球で相手打線を封じた。 十一回は勝ち越した後も2死三塁から柴田が左翼線を破る適時二塁打を放ち、大塚が生還。貴重な追加点に、アルプススタンドは応援にかけつけた生徒らがスティックバルーンをたたいたり、近くの人とメガホンを合わせたりして喜んだ。 十一回裏。勝利まであとストライク一つの場面で石田が投じたストレートに相手バッターは手が出なかった。球審の手が上がると、石田は雄たけびを上げ、大きくガッツポーズ。昨秋のリベンジに喜びを爆発させた。 ◇700人がエール送る ○…一塁側アルプス席では、生徒や保護者ら約700人が青いスティックバルーンを両手にエールを送った=写真。今大会は新型コロナウイルス対策で声を発しての応援はできないが、「小さい頃から憧れていた舞台」という応援団長の村上胡桃(くるみ)さん(3年)は「野球部を後押ししたい」と力いっぱい太鼓をたたいた。吹奏楽部の演奏を録音した応援マーチに合わせて精いっぱい踊ったチアリーディング部長の曽我友里絵さん(同)は「やりがいがある」と久しぶりの応援にうれしさをにじませた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇悔しさ糧に躍動 石川永稀投手(3年) 大会直前にメンバー入りした背番号18が、甲子園のマウンドで躍動した。先発はこの日の朝に告げられたという。8回を投げ1失点で石田につなぎ、勝利に貢献した。 昨年の秋季関東大会はメンバー入りできず、逆転負けした東海大甲府戦はスタンドにいた。「何も自分ができなかった悔しさ」を感じ、冬はその思いを糧に走り込み、門馬敬治監督も評価する直球の質を磨いた。 メンバー入りできなかった仲間の分も「思いを背負って投げた」という。1年から甲子園を経験する石田からマウンドでの心構えなどを聞き、試合に備えた。三回には2死満塁のピンチを迎えたが遊飛に打ち取り、大塚と軽くタッチして喜んだ。 今年のチームスローガン「つながる」を意識し、「一球一球をつないで投げた」という。大役を果たし、「今まで何も残せなかったので、自信、良い経験になった」と語った。【宮島麻実】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦第3試合 東海大相模 00000010002=3 00000001000=1 東海大甲府 (延長十一回)