ヘルメット用エアバッグに、電子制御機能のサブスク化!? 「バイク安全技術の最先端」
BOSCH(ボッシュ)「いわばサブスク!? 好きな電子制御機能をオンラインで選んで使う未来」
4輪、2輪問わず、世界的な自動車部品サプライヤーであるドイツの「BOSCH」(ボッシュ)だが、今日では部品のサプライヤーにとどまらない存在となっている。 高度な電子制御機構に必須となる6軸IMU、ABS、トラクションコントロール、レーダーを活用した周辺認識システムを用いたACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)など、さまざまな電子制御デバイスを開発し、おもにヨーロッパの車両メーカー(BMW、KTM、ドゥカティなど)に納入実績を持っている。 つまり、部品から制御システムまでトータルで提案しているのだ。 そのボッシュが展示していたのが、各種電子制御デバイスをスマートフォンで統合し、セキュリティや天候情報などとリンクさせて、さらに利便性を向上させるシステムだ。 今や電子制御デバイスの種類はかなり多くなっており、ABSやトラクションコントロールはずいぶんと普及したが、ハイエンドモデルのみに採用されている機能も多い。たとえば、急なシフトダウン時の挙動を抑えるエンジンブレーキコントロール、前輪の浮き上がりを防ぐウィリーコントロール、リヤタイヤの横滑りを高度に制御するスライドコントロール、おもにサーキットのスタート時に活用するローンチコントロールなど……だ。 これらの機能は、トラクションコントロールの応用でもあり、その機能自体がないバイクでもハードウェア(トラクションコントロールに必要なセンサー)を備えているケースがある。そうした場合、ソフトウェアでスイッチオン/オフを制御できるのだが、現在は車両メーカー、あるいは正規販売店でのみ操作できるようになっている。 BMWやKTMは高機能なライディングモードを「純正オプション」として設定しているのもその一例だ。 さて、そのスイッチオン/オフをスマートフォンでできるようにする、というのがボッシュの提案だ。そうすることで、ユーザーは好みや必要に応じて電子制御デバイスをカスタマイズすることが可能になる。 たとえば「トラクションコントロールは必要だけど、ローンチコントロールは要らない」とか、「いいや、今週末はサーキット走行をするからローンチコントロールを追加しよう」といったふうに、状況に応じて電子制御デバイスを追加/削除することができる。これはサブスクリプション(サブスク)を利用することでより使いやすいかたちで実現できるというわけだ。 トラクションコントロールなど安全性に寄与する機能を個別に選択できるシステムは、任意保険に似ている。つまり安全や安心を金で買い、必要に応じて保証内容と費用を選択できるからだ。しかもそれらをスマートフォンですぐに加入できれば、「来月はロングツーリングに行くから、トラクションコントロールを入れておこう」といったようなことができるようになる。 こうした電子制御デバイスのサブスクが実用化されれば、バイクの安全性と快適性を自在にカスタマイズできるようになる。近未来のバイクの在り方として現実味のある提案だ。 レポート&写真●山下 剛 編集●上野茂岐