【日本ダービー回顧】逃げ馬不在の機先を制したダノンデサイルと横山典弘騎手 ダービージョッキーたちの熱い駆け引き
逃げ馬不在の機先を制したダノンデサイル
第91代日本ダービー馬ダノンデサイル。安田翔伍調教師はダービー初出走V、横山典弘騎手はダービー3勝目。56歳3カ月4日での勝利は武豊騎手の記録を塗り替えるダービー(JRA・GⅠ)最年長優勝となった。息子二人が騎手として独り立ちした今なお、56歳で頂点に立てる。これもサラブレッドを操って競うという競技の魅力だ。 【日本ダービー2024 推奨馬】勝率75%&単勝回収率252%の強烈データに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 奇しくもこの日、大相撲夏場所で大の里が所要7場所で幕内最速優勝を飾り、新時代の到来を印象づけたが、その裏のダービーを56歳が勝つ。スポーツが魅せる多様性は興味深い。相撲も競馬も最後は孤独だが、決して自分の力だけではない。競馬でいえば、馬の力、関係者の力が混ざり合うチームスポーツの面白さまで詰まっている。だが、ダノンデサイルのダービー制覇には横山典弘騎手は欠かせなかった。 皐月賞除外は難しい決断だったにちがいない。走れないことはない。だが、走らせればその結果がどうなるか分からない。そんなとき、横山典弘騎手は常に安全かつ慎重な道を選ぶ。まず、この決断がなければダービーはなかった。 ダービーはダノンデサイルが除外になった皐月賞で強烈な流れを演出したメイショウタバルが金曜日に出走を取り消した。この時点で、ファンも関係者も展開の想定を大きく練り直すことになった。逃げ馬不在。その候補にはシュガークンなど何頭もの名があがった。各騎手がライバルたちの出方をうかがいながらレースに入るだろう。 そんな状況下で機先を制したのは横山典弘騎手だった。スタート直後にアクションを起こし、前へ行くことを意思表示する。できれば行きたくないシュガークンがそれをみて、さっと外に併せに行くや、典弘騎手は一転して動から静へ。シュガークンを先にやった。さらに外からエコロヴァルツがハナを目指し、1コーナーではエコロヴァルツ、シュガークンの後ろにできたポケットに収まった。外の2番手になったシュガークンは前に壁がなく、2コーナーから向正面にかけて体力を消耗した。