前人未踏のプレミア4連覇。福西崇史が語る今季のマンチェスター・シティの強さ「個人的にはMVPはフォーデンだと思います」
アーリング・ハーランドも昨季より不調と言われながら、それでも結局は27得点。昨季の36得点には及ばなくとも特別なストライカーであることを見せつけたと思います。彼へ周りが期待する基準が高すぎて、27点決めてもハーランドなら当たり前と思われてしまうのは、改めて彼がいかに異次元な存在であるかを証明しました。 ほかにも際立った活躍をした選手はたくさんいて、チームの完成度、選手層の厚さ、あらゆる面で4連覇に値するチームだったと思います。 そんなシティにわずかに及ばなかったアーセナル。今季は新加入のデクラン・ライス、カイ・ハヴァーツがチームをさらに高いレベルに引き上げ、昨季以上の安定感あるチームになりました。 昨季はウィリアム・サリバや冨安健洋が怪我で離脱して、守備の不安定さから終盤に失速しましたが、それもなく、いよいよアーセナルが20年ぶりに優勝するのかなと思っていました。 ただ、それでもシティと比べて足りなかったのはやはり選手層だったと思います。4月の過密日程で6戦5勝1敗は通常であれば見事な結果ですが、シティを相手にしたときにその1敗が明暗をわけてしまいました。 シティはうまくターンオーバーをしながら乗り切りましたが、アーセナルはそこまでの余裕はありませんでした。その1敗を拾う選手層がわずかに足りなかった。それでもクラブ歴代の最多勝利数、最多得点、最多得失点差を記録し、優勝に値するシーズンを送ったことは間違いありません。 ミケル・アルテタのサッカーは十分に浸透し、優勝争いの経験値もこの2シーズンで十分に積み上げることができたと思います。これだけのシーズンを送ったので、来季はさらに新戦力を加え、もう優勝をするだけという最終局面だと思います。 リバプールのユルゲン・クロップが今季で退任となり、ジュゼップ・グアルディオラとの熾烈な争いは終焉しました。寂しい気持ちもありますが、来シーズンからはグアルディオラとアルテタという新時代の争いの始まりでしょう。 クロップとペップは対照的なスタイルの争いでしたが、アルテタは師弟関係のようなまた違った文脈での争いになります。そんななかで、ペップ・シティが連覇を5に伸ばすのか、アルテタのアーセナルが連覇を止めるのか。または違うクラブが躍進してくるのか。どんなシーズンになるのか今から楽しみです。 構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜