政見放送を“有料化”せよ! 選挙の“売名プラットフォーム化”に警鐘…選挙事情に精通する弁護士が「ルール改正」を緊急提言
20日告示された都知事選が早くもカオス状態だ。予告通り、掲載枠を候補者以外に提供し掲示板の一部を”ジャック”したり、「表現の自由」を盾に女性の裸体を掲示する候補者が出たりなど、有権者約 1153万人の首都の首長を決める神聖なイベントが、実質的にビジネスや売名に利用される異常事態となっている。 都知事選のイメージキャラクターを務める志尊淳 告示日になってギリギリで出馬を取りやめた迷惑系ユーチューバー。事情があったようだが、供託金の300万円は全額返還され、結果的にゼロ円で”売名”に成功した。ネット上では「無責任」などの批判が殺到し、ペナルティーもない選挙ルールの変更を求める声もあがった。
選挙戦は初日から無法行為連発のカオス
これがカオス選挙戦の予兆だったのか…。いざ選挙戦がスタートすると、ペイントをした候補者が女性の裸体のポスターをその女性に貼らせた。また、大量の候補者を出馬させ、それぞれの掲示枠を、寄付名目で提供するとしていた政党は、予告通り、寄付者の格闘家のポスターで掲示板の一角を占拠した。 「残念ですが、公職選挙法のもとにおいてはこれらの行為そのものは禁止はされていません」。こう苦々しい表情で話すのは議員法務で豊富な実績のある三葛敦志弁護士だ。 公職選挙法下では、「卑わいだから」とポスターを勝手にはがすと違法になる。明らかに公序良俗に反していても、なにもできない現状は異常といえるが、さすがに裸体ポスターについては、周辺住民からの苦情が寄せられ、警視庁も20日、都迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで、当該候補者に警告を出している。 選挙における”暴走行為”も危惧される。4月の衆議院東京15区の補欠選挙で「つばさの党」が他候補の選挙活動を妨害する行為を繰り返した。警察は選挙後に公選法(自由妨害)容疑で黒川敦彦代表を逮捕したが、選挙期間中は及び腰だった。 こうした警察の”事後対応”姿勢に不満の声もあがったが、その理由について三葛弁護士は、「警察権力は大きな力を持っているので、選挙期間中に動くと公権力による選挙介入とみられかねません。ですからどうしても事後の対応になる傾向があります」と解説する。