「ガラケー」の二の舞も…危機感がホンダ・日産を後押し テスラやBYDなど新興勢力台頭
ホンダと日産自動車、三菱自動車が経営統合の協議に本格的に乗り出す。次世代車は電気自動車(EV)専業の米テスラや中国の比亜迪(BYD)が先行しており、危機感が背中を押した。次世代車に搭載するソフトウエア開発などには巨額投資が必要となるため、3社連合が実現すれば、規模のメリットが期待される。国内勢がトヨタ自動車グループと2陣営に集約されれば、新興勢力に対抗できる形がようやく整う。 【表で解説】主要自動車メーカーの合従連衡の動き ■世界勢力図、激変も 23日に東京都内で開かれた記者会見では、3社のトップから現状への強い危機感が示された。 ホンダの三部敏宏社長は「(新興勢力の)進化がものすごく速い。今回の施策で勝てるかというと、そう甘いものではない。今日は一歩目の検討だ。10年後に勢力図が劇的に変わっている可能性がある」と述べた。 日産自動車の内田誠社長も「取り巻く環境が想定を上回るスピードで変化している。大企業であっても、常識にとらわれていては未来は切りひらけない」と危機感をにじませた。 背景にあるのはテスラやBYDなどの新興勢力をはじめ、中国のスマートフォン大手の小米科技(シャオミ)、台湾の電子機器受託生産大手、鴻海精密工業など異業種の参入がある。 国内勢はエンジン技術に強みを持つが、モーターが動力源のEVは部品点数が少なく、スマホの組み立てのように作れるため、新規参入しやすい。 さらに将来的に車はスマホのようにソフトで機能やサービスを更新する「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」が主流になるとみられ、新興勢力との親和性も高い。 車載ソフトや電池などの開発には巨額投資が求められ、1社単独で行うのは難しいのが現状だ。内田氏も「電動化や知能化には巨額な投資が必要になる。スケールメリットは大きな武器になる」と経営統合に期待を込めた。 ■独自車載OS発表か 過去に「ガラパゴスケータイ」で日本の携帯電話メーカーは存在感を示していたが、基本ソフト(OS)を搭載した米アップルのスマホ「ⅰPhone(アイフォーン)」が登場し、市場は一変した。国内勢の撤退が相次ぎ、今ではソニーやシャープしかない。 スマホの登場で機能を更新し、アプリを提供するOSを握ったアップルや米グーグルが覇権を握った。車がスマホ化すれば、基幹産業でもある国内の自動車メーカーも同じような状況に陥る可能性さえある。