【マイルCS・馬体診断】有力馬に懸念材料あり!あらゆる要素が求められるマイル決戦のヒント
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] 競馬はカテゴリー別に、「スピード」「スタミナ」「瞬発力」「粘り」「切れ味」など、いろいろな要素が求められます。マイル戦は展開によっては、すべての要因が絡み合って必要になる大変難しいジャンルです。今年のマイルCSの出走馬で前記の要素を多く持つ優れた馬3頭を選び、馬体診断してみました。(中村均元調教師)
【ブレイディヴェーグ】
馬体重プラス12キロだった前走の府中牝馬S。これは休養中の成長とみていいでしょう。ですから、ひと叩きしたからといって馬体重に大きな変動はないと思います。マイルは出走経験がないですが、牝馬にしてはがっしりとした体格で十分こなせそうなつくりをしています。目立つのは肩と腰の肉付きの良さ。肩関節、股関節の動きも速く滑らかで、このため、ピッチは追われるとさらに速くなり、これが最後の強烈な差し脚に昇華します。ストライドも同時に大きく伸び、これも最後の切れ味に相乗効果をもたらすのです。これまで1800メートルや2200メートルで見せた尋常じゃない切れ味は、おそらくマイルでさらに俊敏さを増すと思います。
【ジュンブロッサム】
3歳あたりから馬体が少し大きくなり、切れ味も徐々に出てきた馬ですが、その成長曲線が今年に入っても止まらず、上昇気流に乗り続けています。 今回の立ち写真を見ると、無駄な脂肪が全くなく、筋肉のみで構成されたバネの塊のようです。毛ヅヤもピカピカして、体が鏡のように光り輝いて見えます。これが、今、絶好調であることを雄弁に物語っている。全体のバランスもとても良く、バネがありそう。こういう馬を弾むような馬体をしていると言うのです。 頸の鎖骨乳突筋&鎖骨横突筋&頸鋸筋が、肩の三角筋と上腕三頭筋にがっちりつながり、前肢の伸びと軽快さをつくりあげており、後軀のダイナミックなキック力は、臀筋、大腿二頭筋、半腱様筋の伸縮力の強さによるものです。 ただ…。馬体から受ける印象はマイラー体形というよりも中距離タイプなんですよね。いかにもマイルという体形をした馬と頂上決戦でぶつかったとき、この体形がどう影響するのかというのは少し気になります。ただ、本当にデキは良さそうです。
【ナミュール】
デビューした2歳時から一戦ごとに体がたくましさを増し、5歳秋となった現在、完全に大人の体になりました。馬体重こそ目立つほど増えていませんが、背が高くなり体全体を大きく見せ、馬体の張りも出てきました。調教でも以前とは違う力強さがにじみ出ています。 体の大きさの割にストライドが大きく、軽くてよく伸びる走りをするのが特徴的。頸の頸鋸筋、背中の胸僧帽筋、肩の上腕三頭筋、腰の大腿二頭筋…これらはすべて以前と比べると随分太く盛り上がってきています。立ち馬の写真を見る限り、仕上がりも非常に良さそう。スタートをスムーズに出て、悪いポジションにならなければ連覇も夢ではないでしょう。
東スポ競馬編集部