ファンが映画会社を訴訟「詐欺予告」はなぜ起こる!? 有村昆が解説
新海誠監督の『君の名は。』の予告編は素晴らしい
あと、トム・ハーディ主演の『ヴェノム』も、凶悪なヴェノムのビジュアルをチラ見させて、なんかヤバいSFホラーアクションかと思わせといて、映画本編を観ると主人公とベノムが『ド根性ガエル』みたいなやりとりをするコメディタッチのバディものに仕上がってましたから。 ただ、これを「詐欺」とは言わないでほしいんですよ。宣伝会社が、作品を観てもらうために色々考えた挙げ句、その表現に至ったというか、より広いお客さんの興味を引くためにやっているよ。それで観客が「騙された」という部分までが、映画の楽しみのひとつなんじゃないですかね。 僕がこれはよく出来た予告編だと思う作品が、新海誠監督の『君の名は。』です。この予告編は実に素晴らしくて、 主人公たちの体が入れ替わってしまっているというのは見て取れるんですけど、時間軸が違っていることまでは明かしていない。なので、観客は『転校生』を観に行ったら、『時をかける少女』が混ざってたという驚きを得ることができるんですね。 隕石が落ちてくるとか、ワクワクさせるスペクタクルは匂わせつつ、ネタバレは一切してない。まさにお手本的のような予告編です。 僕の経験上、予告編がよく出来ている作品は、本編も面白い作品に仕上がっていることが多いです。最近のシネコンなどでは上映前の予告編の時間が長くて嫌う人もいますが、そんな視点を持ってゆっくり鑑賞していただければ、愉しい時間になるのではないでしょうか。
ENTAME next編集部