岩国移駐で「騒音は軽減」 厚木基地訴訟で判決、基準超は賠償命じる
米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の騒音被害を巡り、周辺住民約8700人が米軍機と自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めと損害賠償を国に求めた訴訟の判決が20日、横浜地裁であった。岡田伸太裁判長は国に総額約59億円の賠償を命じた一方、飛行差し止めや、将来分の賠償の請求は退けた。 【写真】横浜地裁前で、「差止め認めず」の旗を掲げる原告弁護団ら=2024年11月20日午後2時39分、横浜市中区、杜宇萱撮影 同基地の騒音訴訟は1976年から始まり、今回は第5次。最大の騒音源とされた米空母艦載機部隊が2018年3月までに岩国基地(山口県)に移駐し、その後の騒音の評価が争点だった。 判決は各地の騒音訴訟と同様、航空機の騒音基準「うるささ指数(W値)」が75以上の騒音は、住民に睡眠妨害や健康被害などをもたらす違法な権利侵害と指摘。住宅の防音工事や移転補償などの国の対策は効果が限られ、訴訟のたびに賠償を命じられながら抜本的な対策がとられていないとし、75W以上の区域住民に賠償するよう命じた。 一方、基地周辺の騒音測定データなどから、移駐によって騒音は軽減したと認定。75Wを下回った地域に居住した期間については、賠償責任がないとした。
朝日新聞社