【とっておきメモ】6月に落馬負傷…落ち込むC・デムーロ騎手を励ました兄ミルコの言葉
<とっておきメモ> <エリザベス女王杯>◇10日=京都◇G1◇芝2200メートル◇3歳上牝◇出走17頭 1万キロ近く離れていても、兄弟の絆は常につながっている。 フランスに拠点を置くクリスチャン・デムーロ騎手は、日本に住む兄ミルコ騎手と、いつもビデオ通話で連絡をとる。声だけでなく、互いの顔を見合わせて、競馬や家族の話で本音をぶつけ合う。 「落馬で1カ月も休んだからね…」 今年はG1を勝てず、決して満足なシーズンではなかった。 欧州競馬でビッグレースが続く6月に仏リヨン競馬場で落馬事故に巻き込まれた。右手親指を骨折してプレートを入れる手術を受けた。直後のディアヌ賞(仏オークス)ではピッコーヌ騎手に乗り替わったスパークリングプレンティが勝ち、英ロイヤルアスコット開催にも行けなくなった。 馬にも乗れず、もどかしさだけが募る。そんな日々を励ましたのが、スマートフォンの画面に映る兄だった。 「親指だけで済んでよかったじゃないか」 落とした視線を上げ、前を向いた。ブランクがありながら100勝まで白星を積み上げ、リーディング4位まで巻き返した。そして待ちに待った2年ぶりの来日。今年も兄の自宅に“居候”して、電話越しでなく対面で笑い合う。フランスでため込んだフラストレーションは、日本で発散させそうだ。【中央競馬担当=太田尚樹】