【マイルCS追い切り】〝最強の刺客〟英国馬チャリンを鬼ジャッジ! 調教班の目に映った日本馬との「違い」
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] 【表】マイルCS調教時計一覧 第41回マイルチャンピオンシップ(17日=京都芝外1600メートル)の最終追い切りが13日朝、東西トレセンでスタートした。その一方、京都競馬場には本紙「調教班の鬼ジャッジ」担当記者の姿があった。なぜなら、今年7戦5勝2着2回、うちGⅠ3勝と完全覚醒した“英王国マイルの怪物”外国馬チャリンを、見極める必要があったから。この馬、日本の馬場でも本当に走るのか? ズバリ診断した。
今年7戦5勝2着2回
4歳シーズンの今年、突如覚醒したチャリン。年間7戦5勝2着2回、その勝利には前走のクイーンエリザベスⅡ世Sをはじめ、マイル路線で名高い3つのGⅠが含まれる。欧州で最重要視される路線のひとつで、そのド真ん中を駆け抜けた存在だ。 その彼がラストランに選んだのが、過去9頭(延べ頭数では11頭)の外国馬が出走し、最高着順は3着(09、11年サプレザ)と振るわぬ、極東の地・京都のマイル戦。13年ぶりにして、最強の“刺客”。この英国調教馬のジャッジなくして、今年のマイルCSは語れない。 6日に日本に到着し12日、三木ホースランドパークから京都競馬場に移動。この日の追い切りに臨んだ。初コンビとなるライアン・ムーアを背に午前7時5分、京都競馬場の芝コースに登場した。逆回りに向正面までダクを踏んだ後、マイル地点まで歩き、順回りに7ハロンから徐々にスピードを上げた。芝を叩く音そのままに力をみなぎらせ、ゴール前では軽く促されると6ハロン81・1―63・6―49・5―36・8―12・2秒をマークした。時計的には上々、追い切り後はムーアをはじめ、関係者の表情にも曇りは感じない。
ボリューム感たっぷりの馬体
ただ、同様に馬に感じられなかったのは“軽さ”。比較はできないが、ボリューム感たっぷりの馬体は輸送を挟んでもなお、腹袋が厚いのではと感じさせるほどのパワータイプ。さらに日本の短距離馬と比べれば、さばきは、やはり硬く映る。 血統を見ると、父は今年の高松宮記念勝ち馬マッドクールと同じダークエンジェル。さらにその父アクラメイションの代表産駒には、安田記念の勝ち馬ロマンチックウォリアーがいる。といえば、日本の短距離路線ではむしろ、“旬”な血統。だが、この2頭と違うのは、やはり馬場との親和性。 日本調教馬が香港やオーストラリアで結果を残すように、ロマンチックウォリアーの走りは香港競馬と日本との、芝の親和性の高さも証明するもの。これらの国から来た馬は結果を残せども、欧州勢となれば話は別。実際、日本での平地GⅠ勝ちはここ20年では、スノーフェアリー(10、11年エリザベス女王杯)とアルカセット(05年ジャパンC)のみ。そして何より、この日の走りは同じ芦毛のマッドクールとは似て非なるものに映った。 実績は過去最強でも…。調教、馬、そして時流を鑑みた「鬼ジャッジ判定」は「×」を出さざるを得ない。
東スポ競馬編集部