「学童がないから、働けない」どう防ぐ? 日本一小さな村の''保育料ゼロ''学童
── 学童保育の待機児童が問題視され始めたのは、ここ最近の話なのでしょうか。 池本 学童の待機児童問題は過去にもありました。共働き家庭が専業主婦の世帯数を追い越した1990年代の初め頃から、保育園の待機児童が問題になり、2001年、政府が待機児童ゼロ作戦を掲げたあたりから、学童の待機児童も増え始めました。2015年に学童の対象年齢が3年生までから6年生までに変わった時にも、学童の待機児童が増えました。 そして最近、また増えています。2016年に「保育園落ちた、日本死ね」と題したブログが話題になり、国会でも取り上げられたことで社会的な関心が高まりましたよね。 当時は女性の就業率が急激に上がり、これまで以上に保育園のニーズが高まっていました。その「保育園落ちた」ブログ世代の子どもたちが小学生に上がる年齢になったことで、学童が必要な子どもの数も増えているんです。その結果、少子化のなか、多くの子どもが学童に入れないというジレンマが起きているんですね。 ただ、女性の就業率上昇は、あくまで学童不足の背景のひとつに過ぎません。 ── 他にどんな問題があるのでしょうか? 池本 学童保育の人手不足ですね。学童保育支援員は保育士と違い、稼働するのは放課後がメインとなるため平日の勤務時間はフルタイムになりません。ただし、土曜日や夏休みなどの長期休暇中は朝から夜まで8時間以上働くことになり、勤務時間が不規則なんです。その反面、給料が低く、体力も必要とされるんですね。 ── シーズンによって勤務時間が変わるのは、大きな働きづらさになりますね。 池本 また、認可保育園の場合、国の配置基準によって保育士1人がみる子どもの人数が決まっています。しかし、学童の場合は「1つの支援の単位(おおむね40人以下)につき、支援員を2人以上配置すること」というガイドラインがあるだけで、強制力もありません。 人手不足によって業務負担が増えている状況もあって、こうした労働条件で支援員を確保することが難しく、退職する人も多いのが実情なんです。