【プリンス関西プレーオフ】興國Bをプリンスに導いたFW白石湊「興國だから成長できた」絆と競争で掴み取った有終の美
12月15日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)決定戦がJ-GREEN堺で行われ、興國B(大阪)が京都精華(京都)と対戦。1-0で見事に勝利しプリンス関西2部への昇格を決めた。 【フォトギャラリー】京都精華 vs 興國B 相手は京都府1部リーグを1位で突破した強敵。強度も高く難しい試合となったが、FW9白石湊(3年)の一撃がチームを勝利に導いた。 23分、興國Bは右サイドのタッチラインギリギリに落ちてきたハイボールをFW7地道碧(3年)が見事にコントロール。トラップした瞬間を狙っていたDFをコントロールと同時に置き去りにした地道がグラウンダーのアーリークロスを送ると、中央を駆け上がっていたFW9白石湊(3年)がスライディングシュート。このシュートが見事に決まった。 この白石のゴールを最後まで守り抜き興國Bがプリンス昇格を手にした。殊勲のゴールを決めた白石は「なかなかゴールまで結びつくような展開が前半は無かった中で、サイドの選手も常にゴールを見ながら準備をしてくれていて、あそこまで流れた時に自分はゴール前に走るだけだったので、仲間を信じて走り込んでよかったし、あそこにしっかりボールを出してくれたことに感謝しかないです。GKが少し出てきていたし、相手のCBもサイドに食い付き気味だったので、ニアに入り込めればGKの前で触れるかなと思っていたので、味方とのイメージも完璧に合っていました」とゴールシーンを振り返り、お膳立てをしてくれた地道に感謝した。 「プリンス昇格という景色を見るためにやってきて、その中で切磋琢磨して競争してきた分、ここぞという時にチームが一丸となって最後まで戦えた。(1回戦では)2失点してしまったところで反省点があったので、感謝とリスペクトを持ちながらも、90分笛が鳴るまで相手より強い気持ちでやり切ること。メンバーもメンバー外も一つになってそこに向かってやっていた」 1回戦の奈良クラブユース戦では3点リードしてからの2失点。なんとか勝ち切ったものの、PK戦に持ち込まれてもおかしくない展開になった。その苦い経験を無駄にはしない。この日の興國BイレブンはピンチになってもGK岩瀬颯(2年)を中心に最後まで身体を張った守備でゴールを死守した。 「トップチームがインターハイでいい結果を出して、やっぱりそういう事が選手たちの刺激になったと思うし、Bチームはそれを自分たちのパフォーマンスに生かせる選手たちの集まりなので、Bチームに関わらず年間を通して興國ファミリーとして、見たことのない場所を目指して更に上に行くという目標に向かって走り切れた。それが興國の魅力でもあるし、ここからの成長にも繋がっていくんじゃないかなと思います」 今年の興國はトップチームがインターハイに初出場。Bチームもプリンス2部に初昇格と、新し歴史を創った。そこにはチームを問わず仲間との絆と競争があった。 「3年生は最後の集大成ということで、やっぱり2年生も含めBチームで一緒に頑張ってきたからこそ、引退試合が公式戦で終われるというのが貴重な経験だし、3年生は次の2年生たちに一つでも上のレベルでプレーして欲しいという想いもあったし、個人的にも自分がプリンスに上げることが、自分がプリンスでプレーできなくても、大学に行った時の自分たちの成長に繋がると考えてプレーできていたので、全員がめちゃくちゃ良いモチベーションとコンディションでこの2連戦を戦えたと思います」 これが高校最後の公式戦となった白石。次の世代にもうひとつのプリンスリーグを用意できたことを喜び、そしてこれからの自身のサッカー人生においてもこの経験は大きいと話した。 「やっぱり守備が一番成長できたと思います。90分きつい中でも前からハードワークして、どれだけ後ろの選手を楽にプレーさせられるか。FWとしてプロを目指している中で、守備の貢献度もFWの価値を上げる。そこはこだわってやってきた。FWの中でも体格が小さい方なので、自分の背中でどれぐらい相手が来ているかや、背中で自分から捕まえにいったり、収めるだけじゃなくて、収めてからファウルをもらえるために身体を入れ込むことだったり、3年間を通してずっと練習からチャレンジしてきたのもあったし、こだわってやれる環境だったので、興國だから成長できた部分でもあると思います」 興國での3年間で成長できた部分はこの試合だけ見ても明らか。屈強なDF陣に対しても小さな体でボールを収め、その俊敏さで相手を苦しめた。 「高卒でプロになれなかったですが、大学でもサッカーを続けるので、プリンスに上げれたという経験や、インターハイや選手権という大舞台で、ベンチやピッチに立てた経験を生かして、大学でもやっていきたい」 大仕事をやってのけた直後でも白石の表情からは満足感は感じられない。意識はすでに次のステージへ向かっているようだった。 (文・写真=会田健司)