自分の意見を話そうとすると涙が出てくる…その理由と克服法を臨床心理士が解説
自分の気持ちを言葉にしていくために
(1) まずは一呼吸 自分の気持ちや本音を伝える際には、いきなり話し始めるのではなく、一呼吸おくようにしてみましょう。一呼吸おくと、感情の昂りをわずかでも鎮めることができます。 (2)自分の考えや本音を出す練習をする いきなり自分の本音や考えを相手に伝えるのはハードルが高いので、まずは相手を通さず、自分の中で完結するような形で、自分の考えや本音をアウトプットすることに慣れていきましょう。Nさんは、事前に自分の思うことを紙に書いてみたり、自分の中で練習しているとお話しされていましたが、ぜひそれを続けてみてほしいのです。紙に書く以外だと鍵付きのS N Sで書いてみるのもいいと思いますし、書いたり記入したことを実際に声に出して話してみるのもおすすめです。慣れてきたらS N Sなどで『こんなことが嬉しかった』『こんなことに感動して泣けた』というような感じで、周囲の人にシェアする、そして共感してもらうという形で少しずつ慣れていくと良いでしょう。 (3)感情を言葉にする習慣を身につけていく 自分の中に起きた感情を言葉にすることに慣れていきましょう。感情を言葉にすることで、自分の内側で絡まっている複数の感情の存在を明らかにして整理したり、相手に自分の気持ちが伝わりやすくなって円滑なコミュニケーションをするのに役立ちます。感情の言語化には、さまざまな方法がありますが、ここでは「3コラム法」をご紹介します。3コラム法とは、出来事・感情(嬉しい、寂しい、悲しい、不安など)・思考(考え)の3つの視点から自分の気持ちを書き出して整理するものです。特に大事なのが、『感情』です。感情には自分の本音が表れているからです。最初は難しく感じたり、抵抗感を覚える時もあるかもしれませんが、少しずつ取り組んでみてください。 (4)苦手な場面の特定や、例外を探してみる Nさんが意見や本音をいう際に、特に苦手な状況・場面はありますか? 例えば目上の人に対してなのか、異性に対してなのか、集団なのかなど。そうやってさまざまな場面を振り返っていくと、『この場面はまだマシかもしれない』とか『この時は涙が出ずに言えた』など、例外が見えてきて、それが解決の糸口になることもあるかもしれません。
難しい時には専門家のサポートを受けるのもひとつ
自分の意見や本音、感情を抑えることが長年の習慣になっているのであれば、それが急にできるようになるというのはなかなか難しい話だと思います。しかし、Nさんが今ご自身で行なっていることは決して無駄になることはありません。長い目で見て、続けていってほしいです。しかし、長い目でとはいっても、うまくいかないことが続いたり、苦手なことにチャレンジすると言うのは、精神的にしんどいこともありますよね。そんな時は心理療法やカウンセリングなどを通して、カウンセラーが伴走しながら、感情の整理や言語化、本音を相手に伝えることをお手伝いできると思います。ぜひそんなことも視野に入れてみてくださいね。