田中将大、甲斐拓也...巨人の補強に広岡達朗が言及 「阿部慎之助も『欲しい欲しい病』に感染したな」
広岡は長嶋茂雄監督時代から変わらない目先の補強に、さすがに辟易した言葉しか出ない。 ただ、中日から獲得したライデル・マルティネスは、ここまで303試合に登板し14勝18敗、166セーブ、42ホールド、防御率1.71と抜群の成績を誇っており、よほどのことがない限り、大きな戦力になってくれるのではないか。しかし広岡は、マルティネスを含め、外国人6人体制に疑問を呈する。 「日本に来る外国人はメジャーに上がれない3A以下であって、働けなかったらすぐにクビを切られる。巨額な契約で獲っても機能しなければ塩漬け。そんなチームを見て面白いと思うのか」 90年の伝統がある巨人ブランドが崩れかかっていることに憂いを感じているからこそ、広岡はいつになく激昂する。生え抜きの選手が活躍してこそファンは喜び、楽しみも倍増するのではないか。「勝利至上主義を突き詰めれば突き詰めるほど、ファンの思いはないがしろにされている」と、広岡は寂しそうに言った。 広岡達朗(ひろおか・たつろう)/1932年2月9日、広島県生まれ。呉三津田高から早稲田大に進み、54年に巨人に入団。1年目からショートの定位置を確保し、新人王とベストナインに選ばれる。堅実な守備で一時代を築き、長嶋茂雄との三遊間は球界屈指と呼ばれた。66年に現役引退。引退後は巨人、広島でコーチを務め、76年シーズン途中にヤクルトのコーチから監督へ昇格。78年に初のリーグ優勝、日本一に導く。82年から西武の監督を務め、4年間で3度のリーグ優勝、2度の日本一に輝いた。退団後はロッテのGMなどを務めた
松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin