“遠くの背景音”をぼんやり聞くだけで心配事や執着から解放される!毎朝5~10分でストレス対策「心を整えるトレーニング法」を徹底解説
「楽しそうな音楽を聴くのがつらい」。そんな、心が弱っているときに最も簡単で誰でもすぐ実践できるのが、音楽を聴くこと。音響心理学者の専門家が、不安や緊張をやわらげる「音の聞き方」を教えます! 【画像】ベランダなどで“ぼんやり聞き”をするのがストレス対策になるという
教えてくれた人
小松正史さん/音響心理学者、作曲家、京都精華大学教授、京都芸術大学客員教授。 音楽だけでない「音」に着目し、教育、学問、デザインに応用する。京都タワーや鉄道、プラネタリウムなど公共空間の音楽も制作。著書に『耳トレ!シリーズ』(ヤマハ)、『心の不調が消える 聞くだけ音トレ!』(フォレスト出版)など。
毎日5~10分の「音トレ」でメンタルを整えよう!
「現代人は日々、耳に入るニュースなどの情報や他人の言葉に怒ったり、思い悩んだりしてストレスをため、メンタルをすり減らしています。残念ながら耳からの情報を遮断することはできませんが、音の力でストレスを心理的に軽減することは可能です」(音響心理学者の小松正史さん・以下同) それが、「音トレ」。これは、前(ぜん)意識(何かのきっかけで気づくことができるが、ふだんは意識していない心の領域)にある背景音を利用して心を整えるトレーニング法だ。 「やり方は毎日5~10分、“遠くの背景音”をぼんやりと聞くだけ。『これは電車の音』『これは鳥の声』などと特定の音を追い求めてはダメ。何となく聞こえる抽象的な音を、何も考えずに聞くのです。自室で行う場合は、窓を開けて外の音を取り込むようにしましょう。人はどうしても主観的に物事を考えてしまいがちですが、この時間だけは音に意味を求めず、ただぼーっと聞くと、一時的でも心配事や執着している物事から解放され、客観視できます」 小松さんは、朝の静かな時間帯がおすすめだという。 「私は、朝起きるとベランダに出て、遠くの音に耳を傾けながらストレッチやロングブレスを行っています。高速道路や工事の音などの人工音は一般的に不快なノイズとされますが、遠くからだと案外耳障りな音には聞こえないんですよ」 ウオーキング中、音楽を聴く代わりに“ぼんやり聞き”をするのもいい。 「人間は、本能的に自然界の音に安らぎを覚えます。ストレスを感じたら人工的な音楽から離れ、意味を発しない自然の音に没頭するリラックス法も大いにアリだと思います」 そんな小松さんが悲しい気持ちのときに聴くとしたら、どんな曲を選ぶのか。 「音楽心理学では、『同質の原理』といって、いまの心情に見合った音楽を選んだ方が癒し効果が得られるという考え方があります。私なら、静かでスローテンポのピアノ曲を選ぶでしょうか。 悲しいときこそ明るい曲を選んで、無理に気分を変えようとすると、余計につらくなる場合があります。 好みもあるので一概には言えませんが、ネガティブな気分のときは、なるべくギャップの少ない曲がいいと思います」 音楽を上手に利用し、心穏やかな毎日を送ろう。