人は偉くなるほど仕事ができなくなり、組織が肥大化すれば無能化するのは必然だった…あなたの身を滅ぼしかねない「SSK」とは
◆あらゆる組織は無能化する 「いや自分はそんなことにはならない。部下を率いながら、自分の仕事ができる」と考える人もいるかもしれません。 しかし、どんな組織にも否応(いやおう)なく、そのリスクは潜んでいます。 それを教えてくれるのが「パーキンソンの法則」です。 これは「公務員の数は仕事の量に関係なく一定の割合で増加する」が本来の意味でしたが、今や「あらゆる組織は肥大化する傾向にある」という一般的な基本原則として認識されています。 昇進した人が優秀であればあるほど、自分の仕事の領分を広げるために人を雇って仕事を増やし、組織は大きくなります。 いっぽう、能力の高くない部長・課長は組織効率を上げることができないため、部下を必要とする。 つまり、どちらにしても組織は放っておけば無意味に拡大していく傾向にあるのです。
◆ピーターの法則 組織にはもう1つ、「ピーターの法則」があります。 すなわち「時が経つにしたがって、階層社会のすべてのポストは、その責任をまっとうしえない従業員によって占められるようになる傾向がある」。 たとえば、営業で優秀な担当者は主任になり、優秀な主任は係長に昇進しますが、昇進したとたん、ダメになる人がいます。 人柄がいいから売れていた人、現場だからこそ活(い)きた技術・能力が昇進したことで使えなくなった人などです。 また、マネジメントやリーダーシップという余計な負担に耐えきれず、管理能力のなさを曝(さら)け出す人もいます。 なんとか課長を切り抜けた人も、総括課長、次長、部長、取締役、常務、専務、副社長と、その能力が発揮できなくなるまで昇進が続いていきます。 こうして、各層のポストを占めるのは、「そこで自分の限界に達してしまった人たち」だらけになるのです。 この法則は、階層組織が「昇進」を原動力に従業員の動機づけを行う限り、すべての組織に当てはまります。 つまり、あらゆる組織は肥大化し、無能化するのです。 へたをすると、個人の本来の能力は発揮されずに埋没し、組織は沈滞していきます。 ※本稿は、『どう生きる?――人生戦略としての「場所取り」の教科書』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
藤原和博
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