著作権は侵害すると「10年以下の懲役/1,000万円以下の罰金」だが…肖像権に罰則は「ない」【弁護士が解説】
動画制作やSNSの運用などをする際は、肖像権や著作権など他者の権利を侵害しないよう注意しなければなりません。混同しやすい肖像権や著作権ですが、それぞれどのような権利で、なにが違うのでしょうか? また、これらの権利を侵害すると、どうなるのでしょうか? 今回は肖像権と著作権について、Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。 都道府県「電気代値上がり率」ランキング…家計調査「2022年12月」前年同月比較
「肖像権」とは?
肖像権とは、簡単にいえば、容貌や容姿を無断で撮影されたり公表されたりしない権利です。肖像権は法令に明記された権利ではないものの、日本国憲法13条の「幸福追求権」を根拠として、判例で確立されています。動画制作やSNS運用をする際は、他者の肖像権を侵害しないよう注意を払わなければなりません。
「著作権」とは?
肖像権と並んで注意すべき他者の権利には、著作権があります。ここでは、著作権の概要について解説します。 著作権の概要 著作権は「著作権法」に規定されており、「著作物」を保護する権利です。著作権の保護を受けるために登録などを受ける必要はなく、著作物の創作時点から著作権が発生します。また、著作権の保護を受けるために「©マーク」などを付ける義務はなく、マークがないからといって保護対象とならないわけではありません。 著作権の対象となる「著作物」 著作権の保護対象となる「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(著作権法2条1項1号)。著作物の範囲は非常に広く、プロが描いた絵画やプロが書いた小説、プロが作曲した音楽などはもちろん、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であれば、次のものなども該当します。 ・幼児が描いた絵 ・企業のブログ記事 ・一般個人がSNSに投稿したイラスト ・一般個人がスマートフォンで撮影してSNSに投稿した動画や写真 著作権については誤解が少なくありません。次の内容はすべて誤りであるため、誤解しないようご注意ください。 ・プロではない、いわゆる「素人」の作品は著作権の保護対象外である ・「©」マークがついていない作品は、ルールなく自由に使ってよい ・SNSに公開された作品は著作権が放棄されているので、ルールなく自由に使ってよい ・フリー素材は、ルールに縛られることなく改変も自由である 思わぬ侵害を避けるため、著作権についてご不明な点がある際は使用前に弁護士などの専門家へ相談したほうがよいでしょう。