「畑の菌活」のススメ。土の中の微生物を元気にさせて、この冬は畑を休ませない!
「栽培できる野菜も少ないし、冬は畑を休ませよう」と思っている菜園家のみなさん、その畑、野菜が育ちにくい状態になってしまうかも。微生物のすみかを守る「畑の菌活」をおすすめします! 『やさいの時間』12・1月号では、有機無農薬栽培研究家の能登山 修さんに、菌活のメリットや方法について、たっぷりと教えていただきました。一部を抜粋してお届け。
なぜ畑を休ませないほうがいいの?
「冬は畑を休ませておけ」といわれることもありますが、「必ずしも休耕が春の土壌回復につながるわけではありません」と能登山さん。 野菜が栽培されなくなると、土壌微生物(細菌、糸状菌など)は、野菜の根から供給される栄養分を得られなくなり、その活動が低下します。 さらに、むき出しの土に寒風や紫外線が当たり、微生物のすみかが脅かされることに。これにより、微生物の多様性が失われ、生態系のバランスが崩れる可能性があります。 大切なのは、土の表面をむき出しにせず、冬の間も野菜や緑肥(りょくひ)を栽培したり、刈り取った野菜の残渣(ざんさ)や雑草などで覆ったりして土の温度を暖かい状態に保つこと。 こうして微生物の働きを促すことによって、栽培しやすい栄養たっぷりのフカフカな土が出来上がります。
土がむき出しになると、土が硬くなってピンチ!
雨と乾燥の繰り返しで土の表面が硬くなり、空気や水が入りにくく地温も下がります。微生物やミミズなどの土壌動物の活動が弱まり、土はだんだん固まって粘土のようになり(単粒化)、野菜が育ちにくい状態に。 冬の間、植物や資材で土を覆って温度を高めに保つことで、土がフカフカになり微生物や土壌動物が活動しやすい環境に。植物の根が土をほぐし、空気や水、養分を蓄えやすくなり(団粒化)、春の野菜作りをスムーズに始められます。
【菌活プラン】太陽熱で土作りをする
冬の間も畑を有効活用する方法の一つに、太陽熱を利用した土作りがあります。春用の栽培スペースを透明マルチで覆い、ぬるま湯のような状態で土を温めると土の中の微生物が活発に働き、有機物を分解します。その結果、栄養豊富なフカフカの土になり、冬でも効率的に土作りを行うことができます。 冬の太陽熱利用は、夏ほど温度は上がらないものの十分な効果があります。日中、透明マルチを通して光がさし込めば、冬でも土の温度が30~40℃になるので、土の中の微生物がよく働き、有機物をしっかり分解してくれます。 12・1月号では、ほかにも畑を元気にするための菌活プランを詳しく解説しています。春からの栽培をスムーズにスタートするためにも、微生物を元気にさせる「畑の菌活」を心がけ、冬こそ畑に足を運びましょう! 教えてくれた人/能登山 修(のとやま・おさむ) 有機無農薬栽培研究家。15年間ほど有機栽培を実践したのち、2015年より貸農園「シェア畑」の菜園アドバイザーを務める。農園や、YouTube「シェア畑 -農園らいふ-」で有機栽培の普及活動に取り組んでいる。 ●『やさいの時間』2024年12・1月号「畑の菌活 この冬 畑を休ませない!」より