<編集長に聞く>世の中の「カウンター」でありたい――月刊「創」篠田博之氏
「黒バス脅迫犯」からの手紙
《篠田編集長宛に10月、「黒子のバスケの脅迫犯」とする人物から手紙が届き、その一部始終を「Yahoo!個人ニュース」のブログで伝えている。》 ――――なぜ「創」に手紙が届いたと考えるか? 篠田編集長:犯人は、ネット社会の住人のようで、大手メディアに不信感を持っている。新聞・テレビを「お巡りの御用聞きの阿呆ども」などと罵倒しており、警察と関係の深い新聞・テレビには犯行声明を送っても握りつぶされるかもしれないと考えたらしい。そこで反権力で独自路線をとっている「創」なら公表してくれるのではないかと考えたようだ。「創」が、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚などの手記をよく載せていることも知っていた。 犯人は「怪人801面相」と名乗ったりして、グリコ・森永事件の怪人21面相をなぞっている。恐らく今の社会の閉塞状況に不満を抱き、世間を騒がせてやろうとしているのだろう。グリコ・森永事件に詳しいので、最初は、犯人は年配者かとも思ったが、怪人801面相という名称には801=「やおい(男性同性愛をテーマにした漫画や小説)」という表現が含まれていたりするから、団塊の世代よりも若い、30~40代ではないだろうか。 ――――新しい手紙はもう来てない? 篠田編集長:来ていない。10月半ば以降の脅迫騒動で警察も必至の捜査を行っているし、実際に犯人が浦安のセブンイレブンに毒入り菓子を置いた際に防犯カメラにキャッチされているようだから、次にへたに動くと捜査が身辺に及びかねないと警戒しているのだろう。警察も威信をかけてこの事件の捜査を進めているようだ。 ■篠田博之(しのだ・ひろゆき) 月刊『創』編集長。1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評。