「積水は騙されている」…実は地面師との取引中に警告文が届いていた!?利益に目がくらみ、決済を急いだ積水ハウスの「愚行」
Netflixドラマで話題に火が点き、「地面師」はもはや国民的関心事となっている。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 11月1日と8日には、あの人気番組「金スマ(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)」でも地面師特集が放映されるほど。同番組では、ネトフリドラマの参考文献になったノンフィクション『地面師』の筆者・森功氏がゲスト出演して、地面師の手口を詳しく解説している。 不動産のプロですらコロッと騙されるのだから、私たち一般人が地面師に目をつけられたらひとたまりもない。そのリスクを回避するためには、フィクションのドラマを観るより、地面師の実際の手口が詳細に書かれた森氏のノンフィクションを読むのが良いだろう。 森功著『地面師』より、自己防衛の参考になる箇所を抜粋してお届けしよう。 『地面師』連載第11回 『「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ』より続く
古びれた書類
4月20日、小山と生田が海喜館の売買条件について積水ハウス側の部長や部長代理と具体的な交渉に移る。 そこで、60億円の売却金額で話が折り合い、契約の条件として、4日後の24日までに追加の手付金12億円を支払うことも決めた。残る48億円の支払いについては、7月末の決済とした。 なお、海喜館の購入代金はのちに70億円と公表されている。それは積水ハウス側がニセ海老澤佐妃子に対し、旅館売却後の住まい用などとして、自社のマンション購入を薦め、それらの取引額が含まれているからだ。 さらに取引の過程で積水側は、70億円のうち63億円を先払いしたと発表したが、そこの疑問については後述する。 4月24日、西新宿のホウライビルにある積水ハウスの事業所で12億円の手付金が支払われた。紛れもない正式な取引だ。ビルの5階にある東京マンション事業部会議室に関係者全員が顔をそろえ、小山たちは海喜館の不動産権利証を用意した。 海老澤佐妃子が半世紀も前に両親から譲り受けた書類だと前置きしたそれは、赤茶けていて、ところどころ破れかけていた。 「ほう、これはめずらしい。ずいぶん、古い権利証ですな」 積水ハウスの担当者は、前のめりになってそう漏らし、書類を本物だと思いこんだ。すぐに手付金として12億円の預金小切手を振り出し、ニセ佐妃子に手渡した。これにより売買予約の登記手続きができる。 この時点で地面師グループの犯行は、50%以上進んだといえた。 だが、そこに思わぬ邪魔が入った。
【関連記事】
- 【つづきを読む】〈積水ハウス地面師詐欺事件〉「引き返す最後のチャンスだった...」決済前日に積水ハウスが見逃した、地面師の“唯一のミス”とは
- 【前回の記事を読む】「地面師」グループ内での取引先をめぐる対立…有名デベロッパーの元財務部長が「積水ハウスなんてちょろい」と言い切ったワケ
- 【はじめから読む】念願の新築マイホームが借地に…「地面師」詐欺を取り巻く「混沌」と「闇」、警察が悔やんだ衝撃の展開とは
- 測量開始のはずがパトカーが駆け付け、「ウチが買い取ったのに、本人確認もしたはずのに」...史上最大の「地面師詐欺」に泣かされたのはあの大手企業だった
- 《積水ハウス地面師事件》主犯格が「ファーストクラス」で悠々と高飛び…「内通者」の可能性まで囁かれた警視庁の「大失態」