トランプ関税、名指しされた中国・メキシコ・カナダの反応は 輸出側が関税コストの一部負担も、と専門家
トランプ米次期大統領が26日、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国製品に対しては10%の追加関税を課す方針を明らかにしたことを受けて、これら3カ国は関税は各国経済に悪影響を及ぼし、インフレを悪化させるリスクがあると警告した。専門家は、世界的に経済活動が低迷している状況を考えると、サプライヤーが関税コストの一部を吸収せざるを得ないと指摘する。 トランプ氏は、関税はこれらの国々が麻薬や不法移民の米国流入を取り締まるまで維持すると述べた。 これに対してメキシコのシェインバウム大統領は同日、関税はインフレと失業を招くと危機感を表すとともに、報復措置の可能性を示唆した。同大統領はトランプ氏宛の書簡で、「関税が次から次へと課されれば両国の事業が危険にさらされることになる」と指摘した。 メキシコ製自動車の最大の輸出先は米国で、最大79%が米国向けとされる。 一方、カナダは米国最大の原油供給元だ。カナダのトルドー首相は、25日夜にトランプ氏と「良い」電話会談を行ったと明らかにした。 カナダ トルドー首相 「一定程度の努力を要する関係だと我々は認識しており、われわれはそうした努力を行うつもりだ。本当に重要なことの1つは、われわれ全員が力を合わせることだ。チームカナダのアプローチこそがうまくいく」 一方、駐米中国大使館の報道官は「貿易戦争や関税戦争で勝利する者はいない」とコメントした。 トランプ氏はしばしば、関税は輸出国に打撃を与えると誤った発言をしているが、実際にそれを支払うのは輸入する企業だ。 だが米国みずほ証券のチーフエコノミスト、スティーブン・リシュートさんは特にカナダとメキシコでは波及効果を引き起こすだろうと指摘する。 米国みずほ証券 チーフエコノミスト スティーブン・リシュートさん 「国境の両側で大規模な製造業を抱えるすべての国が影響を受けるのは非常に明白だ。世界的に経済活動が低迷している状況を考えると、サプライヤーが関税コストの一部を吸収せざるを得ないということも理解する必要がある」 トランプ氏が予告する関税は、1期目の政権で2020年に発効させた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反する可能性がある。