「乗り物酔いは克服できる!?」 重要なのは子どもの頃に“ある運動”をさせることだった!
これまで、気になる論文を読んできた、情報理工学博士の山口先生が、世の中にあふれる「子育て説」を科学の面から一刀両断。現在子育てに悩んでいる方、なにかヒントが見つかるかもしれませんよ! 「紫外線は怖いけれど…」子どもを外で遊ばせる? 東大准教授ママが出した答えは… 子どもと一緒に乗り物に乗る機会が増える夏休み期間。でも、乗り物酔いをしてしまうと楽しいお出かけが途端に台無しになってしまいます。そこで今回は、「乗り物酔いと脳の発達」について、お話しします。
乗り物酔いは、視覚と聴覚のズレが原因だった!?
赤ちゃんは乗り物酔いをしないと言われます。大人も子どもと比べると酔いにくいですよね。乗り物酔いは脳の混乱によって起きますが、発達の過程でおきてしまう事象のひとつでもあります。三半規管を少し早めに発達させることもできると聞いているので、その話をしたいと思います。 人間は、いろいろな感覚(おもに五感)で周りの状況を判断します。そのなかでも一番大きいものは視覚です。 平衡感覚の場合、内耳が大きな役割をしています。回転運動を感じられる三半規管と、傾きや直線運動の加速度を感じられる耳石器が、体の位置関係を認識しているからです。 乗り物酔いは、視覚から入ってくる感覚と、内耳で感じる平衡感覚がズレてしまうとことによって、両者の感覚を脳が調整しきれなくなり、異常な刺激と判断し、自律神経を失調してしまいます。 特に、乗り物の中で本を読んだりすると、乗り物酔いをしやすくなりますよね。皆さんも経験があるのではないでしょうか? これは、視覚と内耳では、揺れの幅が異なるため、内耳の情報と視覚情報のズレが大きくなるせいです。
片方の刺激をシャットダウンで酔いを改善
対処療法としては、案外簡単です。片方の刺激をなくしてしまえばよいので、目を閉じたり、遠くを見て、目の前の動きを少なくさせるなどで、酔いが軽減されます。 また、自律神経に対する不安を減らしていくのも大事。「また酔うかも……」とか「お腹が空いた」とか、別の不安要素が誘発している可能性もあるので、そこを減らすことも大事です。 たとえば、家族と出かけるときには酔わないのに、学校の遠足では酔ってしまう、ということがありますよね。これは、「お昼は誰と食べよう」という人間関係の不安だったり、トイレに行けない不安、上記に述べたように、空腹も大きな不安要素になります。なので、それぞれが感じている不安に対処することが重要です。お腹が空いてしまうのであれば、途中でおやつを食べるなどで少し改善されるかもしれません。