アメリカ軍にとって、日本は「国境が存在しない国」だった!…日本が渡してしまった「ヤバすぎる特権」
「条文」を読むおもしろさ
条文というのは読みなれていないと、かなりとっつきにくく、文中にひとつ入っているだけでも、 「うわっ、ちょっと読む気がしないな」 と思ってしまう方が多いかもしれません。 しかし、少し読み慣れてくると、それはとてもおもしろいものです。 その魅力はなんといっても、たったひとつの条文だけで、ものすごく大きな現象をスパッと明快に説明できてしまうところにあります。 あるいはそれは、数式のもつおもしろさに似ているのかもしれません。 本書の第1章と第2章では、それぞれの章の最後で、私たちが知らないうちに結ばれていた、左のようなとんでもない法律や密約についてご説明しました。 ○ 米軍による日本の空の支配を正当化する「航空法の適用除外条項」(第一章) ○ 米軍の日本全土における治外法権を正当化する「日米合同委員会での密約」 (第二章) みなさんもおそらくその内容に憤慨しながらも、これまで不可解に思われていたさまざまな現実が、すっきりと整理できることに驚かれたのではないかと思います。 そうした日米間に存在する無数の「数式」(=隠された法的取り決め)のおおもとこそ、この「旧安保条約・第1条」なのです。
「旧安保条約・第1条」
では、問題のその条文を見てみましょう。旧安保条約の第1条には次のように書かれています。 「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」(前半部 英文からの著者訳) 日本が独立を回復するにあたって結ばれた平和条約(=サンフランシスコ講和条約)と旧安保条約は、どちらも1951年9月に調印され、翌1952年4月に発効しました。 そのときから日本はアメリカに対して、非常に大きな軍事上の特権を与えることになったわけですが、ここで注目していただきたいのは、日本が旧安保条約のなかの、もっとも重要な「第1条」で認めたその特権とは、アメリカが米軍を、 「日本国内およびその周辺に」 「配備する権利」 だったということです。