国民年金を「前納」していましたが、就職先の「厚生年金」に加入しました。前納分の保険料が「二重」で引かれているのですが、どうしたらよいのでしょうか?
国民年金の前納をしていた方が、年度の途中で会社に就職すると、厚生年金保険料と国民年金保険料の二重払い状態になるケースがあります。 もし、二重払いになったときは還付請求の手続きが必要なため、忘れないようにしましょう。 また、就職したときだけでなく、会社員と結婚をして配偶者の扶養になった場合でも還付を受けられます。今回は、前納制度の概要と年金の支払いが重複したときの対応方法などについてご紹介します。
年金の前納とは
年金は、通常翌月末までに当月分の年金保険料を支払います。しかし、手続きをすれば口座振替による当月末の支払いや、1年分をまとめて支払うことなども可能です。 日本年金機構によると、前納による納付金額は表1のようになります。なお、表1の保険料額は令和6年度のものです。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の前納」を基に筆者作成 もし、通常の「毎月納付」を利用して納付書で1年間納付すると20万3760円ですが、1年前納を利用すると20万140円のため、年間3620円お得になります。5年間納付すれば1万8100円の差です。 ただし、前納は国民年金を直接支払っている方が利用できます。該当するのは国民年金の第1号被保険者で、個人事業主や農業・漁業従事者の方などです。 会社勤めの方は第2号被保険者となって厚生年金保険に加入し、厚生年金保険が本人の代わりに国民年金を負担するため、本人による前納はできません。
年金の支払いが重複した分はどうなる?
就職すると基本的に第2号被保険者になるため、自分で国民年金は納付しません。しかし、もし1年前納を利用している方が年の途中で就職をすると、前納分と厚生年金保険による年金の二重払いが発生します。 もし、二重払いが発生したときは、多く納めた分の国民年金保険料を還付してもらいましょう。 日本年金機構によると、二重払いが確認された方には「国民年金保険料還付請求書」が送付されます。請求書が送付されたら必要事項を記入し、提出すると還付される仕組みです。請求書を提出してから還付されるまでの期間の目安は約1ヶ月とされています。 なお、入社したあとの厚生年金保険への加入手続きに時間がかかるケースもあるでしょう。国民年金をクレジットカード納付や口座振替にしていると、厚生年金の加入手続きが完了するまでの間は引き落としが継続されます。 江東区によると、先述したように還付手続きをすれば払いすぎた分は戻ってきますが、クレジットカードや口座振替による納付を至急停止したい場合は、自治体に直接連絡することで、間に合う月から引き落としの停止も可能とのことです。 ただし、自治体によって対応が異なる可能性もあるため、少しでも早く引き落としを止めたい方は、一度お住まいの自治体に相談しましょう。