誰かを支える、あなた励ます 郡山市議ら介護従事者向けに福祉ラジオ番組
郡山市議の有志がラジオ番組を企画運営し、福祉に関する情報や話題を発信している。市民に福祉への関心を高めてもらうとともに、支援を必要とする市民を孤立させないことが狙いだ。参加するのは会派を超えた議員らで、ラジオ関係者によると、ボランティアによる同様の活動は全国的にも珍しいという。議員らは「自分たちの声で大変な状況にある人たちに情報を届けたい」と意気込む。
現場の声届ける
「ご機嫌いかがでしょうか。今日は特別企画としまして、携わっているスタッフ、議員大集合でございます」。昨年12月下旬の郡山市議会応接室に軽快な声が響いた。昨年最後の番組収録となったこの日、参加した市議7人が自身が着目する福祉のテーマなどを紹介した。 番組名は「ウェルフェアこおりやま」。コミュニティFM局「KOCOラジ(ココラジ)」で昨年4月から毎週放送している。市議らが市内の福祉施設や事業所などを訪れ、現場の生の声を発信しているほか、福祉を支える人たちをゲストに迎え、施設や業務内容を紹介。市の政策や施設、イベントなど福祉関連の情報も伝えている。 活動のきっかけは、要介護者や障害者などのケアに携わる「ケアラー」の社会参加の機会をつくりたいと考えたこと。発起人の栗原晃市議(67)は「家族などのケアで、仕事もままならないような大変な状況の人も多い。一人ではない、身近に居場所があるよと、何とかして支援情報を届けたかった」と意義を語る。 実行委員会をつくり有志を募ったところ、市議会5会派から7人の市議がボランティアで参加した。市職員や会社員らも加わり、共感の輪は広がりを見せている。
「自分ごととして」
元FMラジオアナウンサーの加藤漢太市議(62)もその一人。普段、栗原さんとは別の会派で活動しているが、福祉支援の必要性などに関する思いが一致。各放送回でナビゲーター役を務め、「福祉は全ての根幹。多くの人に福祉を『自分ごと』として捉えてもらえるよう、情報発信を続けていく」と力を込める。実行委は発信力を高めるため番組のホームページを公開。今後は参画する仲間を増やしながら番組内容などを充実させ、リスナー増加につなげていきたい考えだ。 市も孤立化などを防ぐため、ケアラーに対する支援の重要性を認識しており、市内3カ所に相談窓口を置くほか、ケアラーらの居場所づくりの拡充などに努めている。番組への出演経験がある職員は「福祉は行政だけでは完結できない。市民や関係団体、各機関が協働で役割を果たしていく必要がある。ラジオによる情報発信もその一つで、活動は心強い」と期待している。(伊藤隆) ◇ ウェルフェアこおりやま 毎週火曜日午後0時40分から20分間放送し、昨年12月31日の放送分で40回目を迎えた。毎週木曜日午後4時20分からは再放送も実施している。
福島民友新聞