日本気象協会へのサイバー攻撃「雪シーズンに情報入手できないと困る」ユーザー狙った攻撃か? 相次ぐ「DDoS攻撃」サイバー捜査専門家がスタジオ解説
FNNプライムオンライン
日本気象協会のサイトを狙ったサイバー攻撃は、一体誰が何の目的で攻撃したのでしょうか。実は、こうしたサイバー攻撃が私たちにも直接関係があるかもしれないということです。 サイバー犯罪に詳しい警察庁のサイバー警察局で捜査課長などを歴任された棚瀬誠さんに話を聞きます。 青井実キャスター: まず率直に、なぜ日本気象協会のサイトが今回狙われたのか教えてください。 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: 天気予報サイトが生活に欠かせなくなっているので、この雪のシーズンに天気予報が見れないと困るというユーザーをターゲットに狙ったのではないかと思われます。 また、天気予報を見ながら移動を考える方にとっても非常に迷惑な話ではないかと思います。 青井実キャスター: 情報を盗むではなく、いたずらでやってきたと? 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: DDos攻撃は被害企業や法人が困る、業務を妨害するのが一般的です。 こうしたサイバー攻撃が年末年始にかけて立て続けに起きています。 帰省ラッシュの直前、12月26日には日本航空、そして同じ日に三菱UFJ銀行、さらに大みそかの12月31日には、みずほ銀行とりそな銀行。 そして今回、大雪のシーズンに日本気象協会ということですが、全てDDos攻撃に遭ったとみられています。 青井実キャスター: 犯人の狙いというのはどういうところでしょうか? 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: 今回は師走の利用者が多い時期に意図して攻撃しているものと思われますが、公共交通機関や金融機関、生活に欠かせない天気予報サイトが狙われたことからしても、もとより日本の経済を混乱におとしめようという意図は少なくとも垣間見えますが、被害企業・被害法人による復旧の時間や復旧の手段を見ながら、次なる攻撃手段を探っている可能性も考えられます。 青井実キャスター: 犯人は誰なんですか?内部のシステムを知っている人か、それとも外の人なのか。 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: DDos攻撃は外部の誰からでもできるので、いわゆる「内部犯行」ですとか、内部の関係者という見立てではないと思います。 とりわけサイバー攻撃のため、国は関係ございません。国境をまたがって今回は日本の法人に攻撃されていますが、同じ年末の時期にアメリカの法人も攻撃に遭っているので、そういった点ではないでしょうか。 青井実キャスター: あと気になるニュースで、サイバー攻撃を巡っては8日、警察庁が中国政府が関与している可能性があるサイバー攻撃グループが2019年以降、日本の企業や組織・個人に対してサイバー攻撃をしているとして、注意を呼び掛けているということですが、こういったグループの犯行の可能性はどうでしょうか。 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: ご指摘のとおり、中国の関与が疑われるサイバー攻撃については、警察庁をはじめとする日本政府が注意喚起をしているのは事実でございます。今回のDDos攻撃は、現状、いかなる攻撃主体が攻撃をしているのかはまだ分からないんですが、次なる攻撃手段を探っている観点からすると、こういった攻撃主体が何がしかの意図をもっていろんな公共交通機関や社会インフラをターゲットにしていることは排除できないと思います。 「DDos攻撃」というのは、サーバーに大量のデータを送り付けて負荷をかけてダウンさせてしまう攻撃ですが、この部分で私たちが知らないうちに攻撃に加担してしまっている可能性があるといいます。 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: 例えば、私も自宅でパソコンを使います。パソコン関連機器という意味ではWi‐Fiのルーターがご自宅にあると思うんですが、このWi‐Fiのルーターが知らないうちにウイルスに感染して、知らないうちにDDos攻撃に悪用されていることは現にございます。 宮司愛海キャスター: 対策はあるんですか? 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: Wi‐Fiルーターでございますので、ID・パスワードの管理を徹底するのはもとよりですが、セキュリティーの観点から、最新の状況にアップデートしておくことも非常に重要だと思います。 SPキャスター パトリック・ハーラン氏: DDos攻撃って30年ぐらい前から聞いているんですよね。技術進化はあるのに避けられないというのは何か悔しいですね。捜査の方は何か進化はあるんですか? 元警察庁サイバー捜査課課長・棚瀬誠さん: 捜査の進化という意味では、日本気象協会を例にしますと、東京都の警視庁が捜査をするんですが、国の捜査機関であるサイバー特別捜査部が国境をまたがる事件について捜査をするというのが最新のトレンドとしてございます。