【試乗】インディアン「新型スポーツスカウト」 ミッドクルーザーの美点が際立つ10年目の大進化
【試乗インプレッション】
────────── DOHC4バルブの伸びやかなパワーが魅力 ────────── さて、10年ぶりの全面刷新で華麗なる変身を遂げた新型スカウトシリーズだが、従来のスカウトとは見た目も大きく変わった。特に今回試乗した「スポーツスカウト」は米国で人気のクラブスタイルを強調したデザインが印象的だ。小ぶりなフェアリングに切り詰めたフェンダー、フロント19/リア16インチのキャストホイールやライザー付きのワイドバーハンドルとともに、ステップ位置もバンク角を稼げる高めのフォワードコントロールへと変更されている。従来のスカウトが割とクラシカルな雰囲気だったのに対し、新型では軽快さと走りのパフォーマンスを予感させる現代的なスタイルへと進化している。 跨ってみたが、高さ680㎜のシートは抜群に足着きが良い。ステップは前寄りではあるが極端ではないし、気になる人はミッドコントロールに変えられるオプションもあるので問題ないだろう。排気量アップしたVツインエンジンは小気味よい鼓動感はもちろん、ツインカム4バルブらしい伸びやかで力強いパワー感が魅力。心躍るドコドコ感はしっかり残しつつも振動はほとんどなく、上も8000rpmぐらいまで普通に引っ張れる。かといってドカンとくるわけではなく、アクセルをややラフに開けても一拍置いて“じわっ”とくる柔らかなツキが扱いやすい。スリッパー&アシストクラッチのおかげでレバー操作は軽めでシフトタッチも滑らか。6速ミッションのつながりもスムーズだ。試乗会はあいにくの雨だったが、こうした出力特性に加えABSやトラコンやライドモード(もちろんウェットを選択)などの新しい電制パッケージのおかげで安心してウェット路面での走りも楽しめた。 ────────── クルーザーらしからぬ軽快さで良く曲がる ────────── ハンドリングも熟成された。車体のモーションはシャープではないが軽快で、クルーザーらしいどっしりとした安定感を損なうことなく旋回性も引き出している。サスペンションはフワフワせずしっかりめで、アクセルを開けて曲がる高速コーナーではピタっと安定したラインを刻み、街角の交差点では目線を向けるだけで素直に曲がってくれる。ライダーはシートにどっかり体重を預けたまま、あとはフロント19インチの安定感とリア16インチの旋回性に身を任せておくだけでいい。ミッドサイズの扱いやすさも奏功して、難しいことを考えなくてもイージーに乗れて、それでいてなかなかスポーティな走りを味わえるのが魅力だ。 また、ウェット路面で強めにブレーキをかけてみたが、リア側主体で良く効くブレーキはコントロールしやすく、前後ともABSの介入も穏やかで雨天走行でも安心できた。ちなみにスポーツスカウトは車重248kg、軸距1562mmとクルーザーセグメントの中では軽量コンパクトでバンク角にも十分余裕がある。参考までにこの数値はCB1300SFなどの国産ビッグネイキッドと同程度で、スペックデータからも軽快な走りが想像できるかと思う。 軽めの車体と小柄な人でも余裕で足が着く低いシート、扱いやすいパワーソースと安全には不可欠な電子デバイスの充実も含め、大型バイクにあまり慣れていないライダーでも安心して乗りこなせるマシンと言える。初めてのクルーザーとしてもおすすめだ。
スポーツスカウト[2024]主要諸元
・全長×全幅:2,206×956mm ・ホイールベース:1,562mm ・シート高:680mm ・車両重量:248kg ・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 1250cc ・最高出力:105HP/- ・最大トルク:108Nm/6,300rpm ・燃料タンク容量:13.0L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=130/60-19、R=150/80-16 ・価格:202万円~(消費税込み)
ケニー佐川