どの程度利下げすべきか不確実性を指摘-米地区連銀総裁が相次ぎ発言
(ブルームバーグ): 複数の米地区連銀総裁は13日、金融当局としてどの程度金利を引き下げる必要がありそうかについて、あらためて強度の不確実性を指摘した。経済のバランスを保つため、適切な政策運営姿勢の判断に努める上で、当局者が直面する困難を浮き彫りにするものだ。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は同連銀とダラス連銀が共催したエネルギー関連会議で講演し、「今は金融政策の景気抑制度の巻き戻しを開始する局面である一方、金利をさらにどの程度引き下げるかや最終的にどこに落ち着くことになりそうかはまだ分からない」と語った。
米金融当局者らは、今回のシュミッド総裁のような発言を繰り返すようになっている。当局者の多くは、景気の加速にも減速にもつながらない中立金利について、新型コロナウイルス禍以降に上昇した公算が大きいとしているが、その水準がどこにあるのか誰も確信を表明していない。
ダラス連銀のローガン総裁は同じ会議で、「重要なのは中立金利を巡る不確実性も高まっている点だ。それは恐らく、経済の構造的変化が比較的最近のもので、十分な評価を行うには時間がかかるためだ」と話した。
中立水準よりも行き過ぎればインフレ再燃を招くリスクがあるため、こうした不確実性は米金融当局者に大きなプレッシャーとなっている。
このため当局者は一段と慎重に政策運営を進め、利下げサイクルを一時停止する可能性も考えられる。
ローガン総裁は「広く参考にされているモデル」に基づけば、中立のフェデラルファンド(FF)金利は推計2.74-4.6%の範囲のどこかにあると指摘した。
連邦公開市場委員会(FOMC)のFF金利誘導目標レンジ4.5-4.75%の中間点は現在、この推計範囲の上限に当たる。
ローガン総裁はさらに、一層の利下げが見込まれるとしつつも、金融当局として「現時点は慎重に進む」ことが求められるとの認識を示した。
10月の米消費者物価指数(CPI)がおおむねエコノミスト予想に沿った数字となったことで、13日に発言した米金融当局者は総じてインフレ率が引き続き2%の当局目標に向けた低下の道筋にあるとの自信を表明した。