古豪復活なるか? 愛するランチアの行方【新米編集長コラム#12】
救われたランチアのファン心理
私は2006年にランチア・イプシロン・モモデザインを新車で購入し、現在も所有している。その前はデルタHFインテグラーレ16Vという、20年来のランチア乗りである。だから一時期、この業界関係者でさえも『ランチアは消滅した』と勘違いして書くほどの状況に、長年歯がゆい思いをしてきた。そんな心理が救われたのだ。 タバレス退任の影響が出るのは、早くても再来年。2026年のガンマまでは、若干の軌道修正があっても普通にデビューさせるはずだ。ということは、その先に控えている4代目デルタが不透明になる可能性がある。 乗り味やパフォーマンスの差を出しにくい100%EVにおいて、元々プラットフォームを共有する同じグループ内の車両をベースに、ちょっと高級に仕立ててきたランチアは、その歴史的強みを生かせる可能性があると思っているのだが、無責任に『ブランドを存続させよ』と書くつもりは毛頭ない。 現在ランチアは日本へ正規輸入されておらず、今後もディーラーの設備投資を考えれば現実的ではない。しかし周囲のイタリア車乗りたちの間では、それでも新型イプシロンを入手しようという動きがあり、私も状況を注視している。だから『存続せよ』ではなく、『存続して欲しい』という祈りの気持ちを、ここに文字で残しておくことにしよう。
平井大介(執筆/編集)