【イマドキ留学体験記】米大学に進学、フードテックを専攻 奨学金や賞金で1千万円以上を調達
グローバル化の拡大や新型コロナの流行を経て、留学の形も変わってきています。世界各国に留学した学生たちが、かかった費用やその後の進路も含め、経験をつづります。今回は、2022年にマサチューセッツ大アマースト校食品科学学部を卒業し、今秋からマサチューセッツ工科大大学院の博士課程1年となる小畑夏音さん。学費負担が大きいと言われる米国大進学ですが、埼玉県の留学奨学金「埼玉発世界行き奨学金」など学内外の複数の奨学金を獲得するなどして工夫しました。
私はマサチューセッツ大(UMass)アマースト校で4年間、食品科学と食品ビジネスを学びました。アメリカの大学への進学を選んだのは、学びたかった食品科学を国内の大学で専攻することが難しかったためです。また、型にとらわれない生き方を求める私に、高校の先生方が海外留学を強くすすめてくださったことも後押しになりました。 その上で、マサチューセッツ大アマースト校はアメリカに古くからある農学校を継承しており、歴史ある食品科学を学べるとして志望しました。 学部時代は食品ビジネスの分野についてビジネススクールでマーケティングや経営の講義を受け、アジアの食品文化論を学んだり、化学工学学部が開講する大学院生向けのバイオテック起業セミナーなどにも参加したりしました。フードビジネスに関わる学問を広く習得できるように、カリキュラムを設定しました。 フードビジネスの実践的な経験も積みたいと考え、1年生から3年間はIFT(米国最大の食品科学学会)が主催する食品開発コンテストにも参加しました。3年次には全米1位を受賞することができましたが、受賞結果以上に大手食品企業のR&D(研究開発)担当者から的確なフィードバックを受けながら、食品開発の企画サイクルを実践的に学べたことがとても貴重でした。
2年秋には当初から興味のあった植物性代替食品の研究が始まった研究室に所属が決まりました。こうして植物性代替食品の研究開発に関わり始めた矢先、コロナパンデミックに見舞われ、3年春学期までラボでの活動はできなくなりました。夏季休暇中に決まっていた現地の大手食品企業でのインターンも参加することができませんでした。 パンデミックの期間は日本への帰国を余儀なくされました。時差14時間のオンライン授業を受けたり、アメリカから日本の自宅に送られてくる薬品などを使って自宅のキッチンで実験を行ったりもしました。食品科学がいかに実生活に即した学問であるかを学ぶ上では、有効だったかもしれません。 大学で対面授業が再開してからは、植物性代替食品開発の研究活動に没頭する日々を送りました。研究フェローとして大学からの助成を受けながら、植物性代替食品開発の第1号となる植物性ホタテの開発に関する研究を進めました。その後、この技術を応用し、他の魚介食品を植物性素材で再現するプロジェクトを立案し、それが私の卒業研究となりました。