私がCOP29に行く理由 アニメ「もののけ姫」を見て受けた衝撃 〝環境フェス〟のリアルを知ってほしい
「森と人と、争わずに生きる方法はないのか」
――そんなCOPに関わるようになったきっかけは? さかのぼれば、小学1年生の時、福岡の友達の家で「もののけ姫」を見たことです。衝撃を受けました。 ――宮崎駿監督のアニメ「もののけ姫」ですか? そうです。主人公のアシタカが、森と人間が争わずに生きる道はないのか、というようなことを言うのですが、そのメッセージをダイレクトに受け止めて、それから自然と人間との共生を考えるようになりました。 徐々に国連を目指そうという気持ちが定まってきて、大学はカナダに留学。イギリスの大学院でサステイナブル開発を学んでいたときに、140カ国の若者が気候変動について議論する「Mock COP26」の立ち上げに参加したのがCOPとのつながりの始まりですね。 ――そこで注目を集めて2021年にCOP26の日本ユース代表になり、日本で循環型の社会づくりに取り組む環境団体「一般社団法人SWiTCH(スイッチ)」を設立したのですね。 持続可能な社会をつくるために、若者が企業や自治体と連携し活動することをサポートする団体です。 スイッチという名前には、環境に対する考えや取り組みを思いきって切り替えて、新たなムーブメントを起こしたいという気持ちを込めています。 サステナブルな活動に力を入れている国の大使や企業とトークセッションを開いたり、自治体や企業と連携して小学校で脱炭素ワークショップを開いたり。普段は世代や業界、国境を越えて持続可能な社会を実現する活動に力を入れています。 ――地球の温暖化や環境破壊のことを考えると恐怖や怒り、無力感にさいなまれる気候不安(エコ不安)が世界中に、それも若者を中心に広まっていると言われています。 私も「大人たちの対応が遅すぎる」「なぜ大人はわかってくれないのか」と怒ったり、不安でいるときがありました。でも、帰国してスイッチの活動を通じて、日本にも環境問題に対して、それぞれの分野で一生懸命、真剣に活動している人がいることに気がついたのです。 ネガティブなことを提示するって一瞬は盛り上がって、課題意識をあおるにはいいのですが、不安やネガティブな感情ばかりをシェアし続けると互いに不安ばかりが支配してしまって、あまり良くない。 何年も頑張ってきた人を批判することなく、それぞれの分野で頑張ってきた人を見つけて、ちょっとずつ手を携えて、さらにその輪を広げていって応援するというポジティブな活動を広げたいと思って活動しています。