【写真：Getty Images】

　日本サッカー界では、欧州クラブで主力として活躍する選手が続々と出てきている。だが、過去を遡ってみると、実力があるにも関わらず短期間で海外挑戦を終えて日本に戻ってきた選手たちもいる。今回は、様々な理由により欧州クラブ在籍1年未満で帰国した日本人選手をピックアップして紹介する。※成績は『transfermarkt』を参照

【写真：Getty Images】

DF/MF：伊野波雅彦 生年月日：1985年8月28日 移籍先：鹿島アントラーズ→ハイドゥク・スプリト（クロアチア） 在籍期間：2011年7月～2012年2月 　伊野波雅彦は身体能力の高さと複数ポジションをこなせるユーティリティ性が持ち味のDFだ。イビチャ・オシムやアルベルト・ザッケローニによって日本代表に招集された経験を持つ実力者だが、クロアチアでの挑戦は成功とは言い難い結果に終わってしまった。 　2011年7月、伊野波は鹿島アントラーズからハイドゥク・スプリトに完全移籍で加入した。同クラブはちょうどクラブ創立100年を迎えるタイミングにあったものの、前シーズンは宿敵ディナモ・ザグレブにリーグ6連覇を許す屈辱を味わっていたこともあり、新シーズン開幕前に大型補強を敢行。 　なかでも“目玉補強”だったのが、クラブ100年の歴史で初のアジア人選手の伊野波である。 　シーズン序盤戦は上々の出来だった。クロアチア1部リーグでは15試合に出場して1得点をマーク。本職のCBだけでなくアンカーとして起用される機会もあり、クラシミール・バラコフ監督が伊野波のポリバレント能力を高く買っていたことが分かる。 　だが、シーズンが進むと不測の事態が発生する。クラブから伊野波への給与支払いが滞るようになったのだ。2012年1月にはクロアチア紙『ユータルニィ・リスト』が「両者の関係は事実上終わりと言えるだろう」と、契約解除が決定的であることを報道した。 　同年2月には伊野波のハイドゥク・スプリト退団およびヴィッセル神戸加入が発表された。 　プレーの出来とは関係ない事象によって、キャリア初の海外挑戦が頓挫してしまった伊野波。加入発表当時の神戸のクラブ公式サイトには「大きく取り上げられている給与未払いはありましたがそれが全てではありません。総合的にみて判断しました」と、自身の言葉で退団の理由を説明している。