先延ばしの逆「前倒しグセ」に気をつけて!即レス=デキる人とは限らないから
先日、オンラインで英ガーディアン紙を読んでいたら「Precrastination(プレクラスティネーション)」という単語に初めて遭遇しました。 一瞬、先延ばしを意味する「procrastination」のミススペルかと思ったのですが、そうではなく、「precrastination」という単語だったのです。これは、先延ばし傾向の逆で、なんでも前倒しでやろうとする傾向を指すのだとか。 先延ばし傾向とは逆に、「タスクをサクサクやる=ポジティブ」と考えられがち。だから、前倒し傾向についてはあまり取り沙汰されないようです。 どちらかというと前倒し傾向がある筆者は家族にその記事を見せてみたところ、「まさに該当している」というお墨付き(?)をいただいてしまいました。 そこで、そんな自他共に認める前倒し人間の筆者が、この傾向について考えてみることにしました。
「前倒しで行動する傾向」Precrastinationとは?
この言葉は、現在はカリフォルニア州立大学リバーサイド校の教授であるデイビッド・ローゼンバウム氏が2014年に行なった実験から生まれました。 それは重いバケツを運ぶ実験で、出発点に近い所と終点に近い所の2カ所にバケツが配置されました。「どちらかを持ってゴールまで運んでください」という実験です。 実験の結果、被験者である大学生の多くは、バケツを持ち運ぶ距離が長くなるにもかかわらず、出発点に近いところにあるバケツを選んだそうです。ローゼンバウム教授はその結果についてこう述べています。 近くのバケツを選ぶことで、遠くにあるバケツを選ぶよりも早く、頭の中のToDoリストにあるそのタスクにチェックマークをつけることができます。 精神的な負担を軽減したいという被験者の願望は非常に強く、そのためにかなり余分な身体的労力を、厭わずに費やしたわけです。
どんなマイナス面がある?
実験で示されたように、前倒し傾向にもマイナス面があることがわかりました。 BBCの記事でも挙げられている、前倒し傾向のマイナス面には、次のようなものがあります。 急いで行なうことによる誤解やエラー 筆者も恥ずかしながら、これはよくあります。時間を取って落ち着いて対応すれば1通のメールの送信で済むところを、思いつくままにメールするので結局複数メールしてしまうとか、慌てて読んだことによる誤解などですね。 また、即レスしすぎて、相手もそんなにすぐ返事が来るとは思っていなかったのでしょうか、メールを見落とされてしまったこともあります。 心身のエネルギーの無駄な消耗 実験では身体的な労力の消費が強調されていましたが、メンタルの無駄もあると思います。 必ずしも「すばやく対応すること=高い効率性」ではないとわかっていても、つい「いまやってもいいか」と思い、重要度の低いタスクに手をつけてしまい、あとでガス欠気味になることも…。 タスクを行き来することによる生産性への影響 「本業である仕事のリズムが崩れるなら、メールへの対応は本末転倒」という指摘もあるとおり、タスクを行き来することは生産性低下につながります。 作業中に届いたメールをすぐ読んだり、対応したりしていると注意散漫になりますし、そこからもとの作業に戻るときも、集中力を取り戻すのに時間がかかってしまったり…。