藤野あおばが続ける“準備”と“分析”。「一番うまい人に聞くのが一番早い」マンチェスター・シティから夢への逆算
課題を具体的にして効果的な練習を
――ご両親に聞くと、藤野選手は小さい頃から「常に考えながらプレーしていた」そうですが、サッカーに関する言葉の語彙力や思考力はどんなふうに培ってきたのですか? 藤野:あまり自覚はないのですが、言葉の使い方や選び方は、両親のおかげだと思っています。小さい頃から自宅でサッカーの話をすることは多かったのですが、小さい頃は特に母といる時間が一番長くて、スクールの送り迎えをしてくれたりとか、スクールが終わった後に怒られたりすることもあったので(笑)。一番影響を受けたのは母だと思います。 ――サッカーにまつわる会話が日常的にかわされていたんですね。普段からいいプレーの再現性を高めるようなイメージトレーニングをしていると思いますが、秘訣はありますか? 藤野:幼少期から、映像を見ることで自分自身がプレーに実行できることが多かったです。いいプレーをイメージとして植えつけておけば、同じようなシチュエーションになった時に選択肢が増えますから。今は個人のプレーを分析してもらっている方がいるので、試合後は毎回、その方とオンラインで話をして、うまくいかなかったプレーや改善点など、課題を具体的に理解した上で次の練習で実践するようにしています。予定が合わなくてオンラインが試合の前日になることもあるのですが、前日にやったことがより印象に残って、試合で発揮できることも増えてきました。課題はアバウトに分析するよりも、「どこがうまくいっていなかったからできなかった」とか、「こうしたらできるようになる」と詳細にしたほうが効果的に練習で克服できるので、それは意識しています。
代表とクラブの司令塔からの学び「一番うまい人に聞くのが一番早い」
――マンチェスター・シティでは長谷川唯選手、清水梨紗選手、山下杏也加選手と日本人選手も多いですが、普段からサッカーの話はするのですか? 藤野:試合後に話したりすることはよくあります。唯さんとは一緒に試合に出ることも多いので、「この時どうしたらよかったですか」と、映像を持って話をしにいくこともあります。 ――長谷川選手は代表でもポジションが近いですが、どのようなことを学んでいますか? 藤野:練習や試合で唯さんと一緒にプレーをしながら、「それができるんだ」とか、「そこが見えているんだ!」という驚きが毎回ありますし、話していても、「考え方がすごいな」と聞き入ってしまうこともあって。とにかくすごい人ですし、同じチームになれて幸運だったと思います。試合でできなかったことやわからないことは、基本的に一番うまい人に聞くのが一番早いと思うので、よく聞きにいきますし、代表の時も同じフィールドプレーヤーの唯さんや(清水)梨紗さんには頼っています。 ――以前、ご自身の性格について「人見知り」と言っていましたが、代表では海外組や年上の選手が多いなかで、年齢はあまり気にせず話せる雰囲気があるのでしょうか? 藤野:今までのチームは(熊谷)紗希さんが中心になって、柔らかい雰囲気や、話しかけやすいチーム作りをしてくれていたので、すごく話しやすいです。今も人見知りではありますけど(苦笑)、遠慮して話せないとか、コミュニケーションがうまく取れないとサッカーのプレー面で支障が大きいので、気になることは遠慮せずに聞きます。「うまくなる」とわかっていてやらない選択肢はないので、その部分では人見知りは出ないですね。