「安保3文書改定」で踏まえておくべき「成り立ちの歴史の舞台裏」
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今年2022年は、年末にいわゆる「安保3文書」の改定を控えている。安保3文書とは、「国家安全保障戦略(国家安保戦略)」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」「中期防衛力整備計画(中期防)」を指す。いずれも国家安全保障会議(NSC)・閣議決定文書である。 このうち、国家安保戦略は、外交・防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針であり、3文書の頂点に位置する。その下に、防衛力の在り方や保持すべき防衛力の水準を規定する防衛大綱があり、一番下には、今後5年間の防衛経費の総額や主要装備の整備数量を示した中期防が存在する。そしてこれら3文書にもとづいて、年度の防衛予算が組まれることになる。安全保障に関するこうした政策文書体系の存在は、健全な「政軍」関係の構築にとって、また対外的な宣言政策としても重要な意味を持つ。 昨今のいわゆる「反撃能力」の保持や 防衛予算の増額をめぐる議論 の結果も、安保3文書のなかに落とし込まれることになるだろう。こうした具体的な論点も重要である一方、今年4月に自民党がとりまとめた提言では、安保3文書の在り方そのものの見直しに言及された。具体的には、防衛大綱を「国家防衛戦略」に置き換えること、防衛力の運用に焦点を置いた文書を策定すること、中期防を「防衛力整備計画」に置き換えること、などである。
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千々和泰明