世界各国のトップはみんなクルマ好き!?

　ロシアには国営のNAMI（中央自動車エンジン研究所）と呼ばれるものがあり、アウルス・セナートはそこでNAMIと参画企業（西側諸国系など含む）とで共同開発されている。 　アウルスの公式サイトをみると、セダンタイプのセナートにも標準ホイールベースとロングホイールベースモデルがあり、さらにリムジンと呼ばれるストレッチモデルがラインアップされている。さらに「KOMEDANT」と呼ばれるクロスオーバーSUVがラインアップされていた。このほか、今回の北朝鮮訪問の映像を見ているとミニバンも存在していた。これは民生版（市販版）のラインアップはないようだが、「アルセナル」というモデルになるようだ。 　過去に北朝鮮の金正恩総書記がロシアを訪問したときに、プーチン大統領は金総書記にアウルス・セナートを贈っている。そして今回も、プーチン大統領は金総書記にアウルス車を新たに贈呈したと報じられている。また、北朝鮮では金総書記を助手席に乗せ、プーチン大統領自らがハンドルを握りドライブを楽しんだとも報じられている（金総書記がステアリングを握り、プーチン大統領が助手席に座ったりもしていたようだ）。 　北朝鮮の金総書記も大のクルマ好きとして有名である。都市伝説級の話だが、8歳のときにお爺さんとなる、金日成（キム・イルソン）氏から、某ドイツ系高級乗用車をプレゼントされ乗りまわしていたという逸話もあるほど。また、ある日の韓国の報道では金総書記の移動用車両や護衛車両はすべて、金総書記の個人所有車だと報じていた。 　その数は数百台あり、西側諸国なども含め、世界のメディアに撮影されることを意識し、そのときどきのトレンドに合わせて組み替えているとも報じていた。たとえば、アメリカを意識するときには、護衛車両をアメリカ車に、日本を意識するときは日本車にということらしい。本人の車両として筆者は報道映像を見る限りは、メルセデス・マイバッハとロールス・ロイス・ファントムを見たことがある。 　核開発問題でかなり緊迫したときには、アメリカの軍事衛星による監視の目をくぐることもあり、乗っている車両を特定されないように、幹部数十人にそれぞれ同じクルマを与えそれで移動させ、自分はそのなかの1台で移動していたなんて話も聞いたことがあるほど。 　ウクライナとの紛争下、2023年8月にモスクワモーターショーが開催されているようであった。出展メーカーはロシアンブランドのほかは、中国やイランといった「友好国」の自動車メーカーが多く出展していたが、ネット検索していると、どこから調達したのか、あくまでショップレベルの出品のようなのだが、トヨタ・ランドクルーザー300も会場内に置かれていたようであった。いまのような非常時においてもモーターショーを開催するのだから、やはりロシアの人はクルマ好きなのは間違いないかもしれない。 　2022年9月に開催された、北米国際自動車ショー（デトロイトショー）プレスデーにバイデン大統領が突然のごとくやってきた（新型マスタングのワールドプレミアがあった）。世界一多忙な政治家といってもいいアメリカ大統領が、半日ほど会場内にいて展示車を見てまわっていた（政治的アピールも当然やっていったが）。話ではシボレー・コルベットの運転席に座りご満悦だったとも聞いている。バイデン大統領もクルマ好きなのは間違いないかもしれない（岸田首相に関しては不明）。 　クルマ好きが取り持つ縁で世界平和というものは訪れないものなのか、ふとプーチン大統領の訪朝のニュースを見て感じた。